くもり。
今日は少し寒い。
ここの家の犬のココちゃんはプードルとコッカースパニエルのミックスで、日本ではトイプードルを多くみかけるがココちゃんは見た目がトイプードルより一回り大きなサイズだ。
犬は「食べる」のが大好きだと思っていた。
ところがココちゃんは違う。
オヤツをもらっても、ガブっと一口で食べたりせず、ガツガツしたところがない。
それよりも人に撫でてもらったりする方が好きな様子で、うちのダンボとは全然違うのだ。
ココちゃんを見ていると、ダンボ、どうしているかなぁ?とダンボのことを思い出しては恋しくなってくる。ダンボは旅行の間、会社のY氏のお宅で預かってもらっている。ダンボの様子を写真で送ってもらったら、ダンボは私が旅の間に2回だけ「美味しい缶詰の餌」をあげてもらうその餌をもらった後の様子が写真に撮られていた。「缶詰のご飯がたいそう美味しかったらしく、ずっと顔を突っ込んでいます」とコメントが書かれてあった。
ココちゃんとはやっぱり真逆なのだ。
午後は車でいろんなお店に連れて行ってもらう。
今日は母の日。輸入品を多く扱うスーパーでは、母の日のケーキを買いにお客が大勢並んでいた。どこの国でもお母さんは感謝されている。どの国の人もやっぱりママが大好きなのだ。
スーパーのあとは、近くの森や丘を案内してもらった。
道路の両側は日本の北海道と重なるひろい緑の大地が広がっていて、天気がよかったらきっと緑が映えてもっと気持ちがいい景色なんだろうなぁ。
昔は粉引き小屋だったという古い建物の奥の森には、メイプルの木がたくさんあって、そこではメイプルシロップの元となる樹液を搾取しているエリアがあった。メイプルシロップはまずメイプルの木に管を刺してそこから樹液を集めるのだそうだ。樹液はサラサラのものらしく、それを煮詰めてシロップは出来上がる。色が薄いものほど上質なんだそうだ。
簡単に手にしているが、作るのには結構手間がかかるんだなぁ。
帰りには中華系の大きなスーパーに連れて行ってもらった。
ここは中華の食材はもちろん日本の食材も多く手に入るということで、つじんの家では家で作る日本食の食材はここで買うのだそうだ。大福や日本のお菓子、調味料の他にも日本で買う3倍ぐらいの値段がついてはいたがシャンプーやボディソープなども売っていた。
夜は家で息子の秋くんがピザを焼いてくれた。
母の日だけでなく、つじんの家の生活は普段から家族の団らんがあるあたたかい家なのだなぁということが滞在中にわかって、家族っていいなと思える数日間だった。家が広くて過ごしやすいことだけじゃない。そこに暮らす家族が毎日を豊かな気持ちで暮らせていることがなにより大事なことだと思う。
あの頃は想像もしていなかった今がある。
高校生の頃の同級生だった二人が長い年月を経てこうして幸せな家庭を築いたことを嬉しく思う。
年を重ねて、よかったと思えるのは例えばこんな時だ。
こんな風に訪ねることが出来たのが今回の旅の一番の心に残る出来事になるだろう。
長かった旅も今夜ここで眠ればいよいよ帰国。
充実した旅だった。
充実した旅だったからこそ、帰ったら私も自分の日常を大事に過ごしたいと思える。
あったかい旅だった。
ここに来れてよかった。