投稿日:2007年08月16日

2007年08月16日

今日もプールに行った。
プールには中央の高い椅子に座った監視員の人が一人、それからプールサイドに立つ人が一人、多い時にはもう一人居ることもある。監視員交代の時には決まった指差しポーズなどをお互いがして、それで持ち場がかわる。
奥の控え室から出て来た人が交代にやって来て高い椅子に座り、それまで高い椅子に居た人が今度はプールサイドに立って監視をする。そしてプールサイドに立っていた人が奥に引っ込むという順番になっていて、私も最初の頃は水の中を歩きながら、”この人達が、何かあった時に助けてくれる人達なんだわ”と尊敬の念で見上げていたものだ。
だが、最近はこの人達はプールの様子を本当はあまり見ていないのだと思うようになった。
プールの中から手を上げていても、気づいてもらうまでにとても時間がかかるのだ。
手を上げる。
最初の5秒ぐらいは手を上げていて違和感がないのだが、10秒ぐらいすると周りの人が気づくのでちょっと恥ずかしくなってくる。この間私から見える監視員は、二人共首振り扇風機のように絶えずプールに居る人を見ていて、”只今、監視中”そのものなのだが、実際に私の挙手は目に入っていないのであった。
一旦手を下ろし、今度はタイミングを合わせて、首がこっちを向いた時に手を上げる。
気付いてくださーーい。
5秒、10秒・・・。
こんなんじゃ、溺れても助けてもらえない。
私はこの人達が”首を振りながら、考えごとをする技を習得した”という風に考える。だって、大抵の回においてこうやって気づいてもらうのに、時間がかかっているのだ。で、そのうちプール内に一緒になって監視員の方をチラチラ見る人が出て来る。
<いや、いいんです。大丈夫です>
「すみませーん」
今度は声も出す。
気づいてくれーーー。
私。こっち。ほら、呼んでいます。
監視員さんのいるとこ、深くて行けません。
今日は見るに見かねてか、同じく水中ウォーキングをしていた人が、監視員の足元を通った時に”あのヒトが呼んでいますよ”と伝えてくれて気づいてもらったのだ。
監視員の人は、初めはここの仕事に就いた頃は真面目に監視をしていたのだろう。それが、ある時”女性の水着姿をあまりジっと見たら変態だと思われるかもしれん”と、意識をするようになり、そこから変態だと思われないためにはどうすればよいかを考えるようになり、それがきっかけとなって、思考が「今日は何を食べようかな」「次の休憩まで何を考えて過ごそうかな」「腹減ったな」「俺も泳ぎたいよ」と、別次元にそれていったのではないだろうか。
お願いだから気づいて下さいよ。
いいのかどうなのか、おかげで最近私はプールに来ている見知らぬ人と挨拶を交わすようになったのであった。


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