昨夜はあまり眠れなかった。
隣りのおばあさんがベッドのリモコンを度々押すのだがこのリモコン、しゃべるリモコンなのだ。
暗がりでボタンを押すものだから勝手がよくわからないらしい。
「あたまが、あがります」
「あしが、あがります」
「あたまが、あがります。あたまが、あがります。あたまが、あがります。」
シーーーーン。
「あしが、あがります」
「あたまが、さがります。あたまが、さがります。」
「あしが、さがります」
<赤上〜げて。白上〜げて。白下〜げないで、赤下〜げる。>
もうこれで何回目なのよ。
もういいじゃんか。そのままエビ反りになって寝ちゃおうよ。
「あしが、あがります。あしが、あがります。」
あぁあああっ、寝られへんん〜〜〜〜〜〜。
ま。夜眠れなくても昼間いくらでも寝られるからいいのだが。
ここは朝6時に「本日のお風呂予約」が解禁になるらしい。私も朝食前にじゃぁお風呂予約でもしようかと、受付に行ったら終日のうちもう残っていたのは一枠だけだった。朝7時にその日の浴室が既に満室。ちょっと驚いた。
今日も日曜日なので病院内はのどかに時間が流れている。検査らしい検査もない。定期的に看護師さんがやって来る検温の時間が平日と変わらないぐらいだ。
私の場合はそれに加えて明日からの治療の説明を先生から受ける。
明日から5日間、私はATG療法と言って再生不良性貧血のウサギさんの血清を使った点滴治療を受けるのだが、その治療の流れとその際に起きるアレルギー症状をはじめ様々な副作用について、詳細に教えてもらった。
ウサギさんの血清はサイモグロブリンというもので12時間かけての点滴になるのだそうだ。副作用止めにはデカコートというステロイドの点滴を使い、ネオーラルという薬の服用も同時に始める。
サイモグロブリンの副作用には、アナフィラキシーショックをはじめ血小板減少、白血球減少、発熱など割と出現しやすいらしく要観察で進めますということだった。他の薬の副作用は腎障害、肝障害、高血圧、高血糖、体重増加、多毛、精神症状・・など結構書いてある。
そのうちのサイモグロブリンの副作用の項目のところに「戦慄」という単語を見つける。
「戦慄」って・・ホラー映画のタイトルにあるあの「戦慄」?
副作用、戦慄って何だろう。恐怖にかられるということなんだろうか。
治療中、そして治療後しばらくの間に、順次副作用が出現するらしい。
なるべくそれらが軽く済んでくれたらいいなぁ。
明日から個室に移って治療がいよいよ始まる。