金沢出発日。
今朝は朝の5時出発なので、数日前から少しずつ体を朝型に変えようと思っていたが、そんなに簡単に生活のサイクルって変わらない。午前3時頃から無理矢理目を閉じて、1時間半呪文のように「寝なくちゃ」と念じたのが一番不毛な時間の使い方だったのだ。
関越自動車道に乗り、車は高速を走る。関東地方にも台風が向かってきているが、途中車窓から見える景色は台風が思い浮かべられない程、晴れた9月の風景だった。
山を越え、温泉地を越え、田んぼが広がって。
ある場所からススキがたくさん見えるようになる。
”もう、ススキなんだなぁ”と思って眺めていたら、祐民子ちゃんが後ろの席で「ススキ・・」と口にした。祐民子ちゃんも”もう、ススキなんだなぁ”と思っていたのかぁ。
川や鉄道と近づいたり、離れたり。何本川を見たかな。社会の教科書で名前しか見たことがなかった川達。水が浅く大きな石がゴロゴロ見えて、普段の生活では見ない川にだんだん変わっていく。
台風の影響で一部早くも通行止めになっていたので、新潟経由で金沢に入ったが、道中は青空に太陽が射す爽やかな天気だった。
午後一番でFM石川のお昼の番組ゲストに、私もお邪魔させていただく。自分もずっと以前にゲストでお世話になったことがあって、その時はゆっくりする間もなかったが、今回は祐民子ちゃんが局のいろいろな方を紹介してくれる。祐民子ちゃんは番組レギュラーを長い間持っていて、時々私に金沢の話をしてくれていた。人と街のこと、文化の話。生まれ育った街ではないのに、いつも愛着たっぷりに金沢の話を聞かせてくれた。
私もこの街や、ここで暮らす人達と接する機会が出来た。祐民子ちゃんが、この街をどうして好きだと言っていたのか、実際に来てみて初日なりにその言葉が私の中にも実感に変わった気がした。なんだか、友だちから好きな子の話を聞いていて、うんうんと頷いていたのが自分もその子に会って好きになっちゃった、どうしよう。みたいな妙な感覚とダブったのだ。
ホテルにチェックインをして、夜はまた再びFM石川の局入りをする。
道中、ラジオから甲斐名都ちゃんのゲストトークが聞こえてくる。名都ちゃんは私も祐民子ちゃんと去年一緒にライブをさせてもらった。可愛らしい女の子だが同業者として見れば才能溢れる女性だ。毎日すごく忙しく過ごしていて、今に大舞台で活躍すると周りで期待しているが、今後どれだけ彼女がビッグになっても祐民子ちゃんはずっと彼女にとって変わらず必要な人のままの気がするそんな二人の関係で、名都ちゃんはラジオで今日も祐民子ちゃんのことを話していた。
いい関係なのだ。
夜は最後、甲斐名都ちゃんチームと合流した。名都ちゃんチームは明日朝新潟に移動するらしく、依然多忙なスケジュールだが、みんなで集まれば同業者同士話に花が咲く。音楽系の職種は、こうして夜は楽しく飲んでばかりの派手な仕事に見えることもあるだろうが、かなり肉体的にもキツい仕事だ。
楽しいことで今日を終える。
お互い頑張ろうよ。明日も笑顔でやろう。
それぞれのこと。
じゃぁまたね。
深夜の金沢の街、手を振って別れたのだった。