投稿日:2008年01月20日

2008年01月20日

ジョージ・デュークという人がいる。私が大いに影響を受けたキーボーディストで、この間古いアルバムを聴き直すことがあったが、やっぱりめちゃくちゃかっこいいなと思ったのだ。
クラシックピアノやハモンドオルガンの教則本には載っていない、何奏法と言うのかも知らないが、大阪弁では「ファンキーのカッティング」「16のカッティング」という言い方をしていて、この左手と右手でパーカッシブに伴奏をする演奏を初めて聴いて「なんだかすごい!」とブッ飛んだのが、ジョージ・デューク氏だったのだ。
そんなわけで、ジョージは私のすごく尊敬するミュージシャンだった。
ジョージ・デュークはパパイヤ鈴木を悪人にしたルックスで、だが歌も歌いちょっとハスキーで甘いボーカルで、もう一つのあこがれは透明のアクリルで出来たでっかい特注のシンセサイザーを使っていて、このシンセもまたかっこよかったのだ。
信じるものがあるっていいことだ。ジョージ・デュークを尊敬していた頃の私は、何の悩みもなく「音楽を頑張ろう」と燃えていたのだった。
ジョージ・・・。
ある時、来日をされたジョージ先生のコンサートがあった。大阪厚生年金大ホールで行われたコンサートは、ほぼ満員のお客さんで席は埋まり、あの透明のキーボードも途中で舞台の袖からコロコロと運ばれてきて登場し、私としては大興奮だった。
初めての生ジョージ。
やっぱり天才だわ。
「アーンコール、アーンコール」
ジョージ・・・。
何がお気に召さなかったんでしょうか。
アンコールの声に誘われて、ギタリストのポールジャクソンjrがステージに出て来て演奏を始めたのだが、ジョージがヒールのプロレスラーのように登場して、「アンコール?!ないない。しないよ!」と大きなジェスチャーで演奏を止めてしまったのだった。
”まじ?嘘でしょ”
一瞬会場は凍りつき、
しかしポールジャクソンjrが、”なーんちゃって!”と、客席に向かっておどけたあとでまた弾き始めたので、”あぁ、こういうお芝居風のアンコールだったんだわ”とホッと安心をしたのだ。
すると、ジョージは演奏に割って入って「アンコールはなし!なし!帰るぞ」と、もっとでっかいジェスチャーをしたあと、本当に帰ってしまったのだった。
コンサート、おわり。
こんなの、アリ?
さっきまで機嫌よかったじゃない。
あれ以来、ジョージ・デュークをキーボーディストとして見れなくなった。どうしても悪役のプロレスラーとしての印象が強く思い出されてしまうのだ。
アンコールを一曲していたら、行きたい寿司屋が閉店してしまうからだったのかもしれない。
が、そんな事情は知らない。
とても複雑な存在となった私の憧れのヒトなのである。


“ 2 件 ”のコメントがあります

  1. 爪ちゃん より:

    やっぱり第一印象って大きいけどねぇ。10代に影響受けた人は尾を引く。わたくしは最近 甲斐バンドの紙ジャケ再発シリーズを買い漁っております。はずかぴ〜(^^;
    吉川のファンキーカッティングもまた関西で魅せて欲しいものであります。(^-^)

  2. 吉川みき より:

    あんなにあからさまに、「アンコールなんて絶対にやらない」とムっとした態度で表明をされたコンサートは他になかったですよ!当時はショックだったけれど、今は面白かった思い出になりました^^時間が解決してくれるもんですね、はっはっは。

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