「ワン、ワワワワン!」
番犬として頑張ろうと思っているのかどうなのか、勢いよく吠えるのだが、犬のダンボの視線の先を見ると、それはどう見ても泥棒ではない。
裏の家の塀に立てかけてあるスキー板なのだ。
「ダンボ、あれは違うよ。スキー板だよ。」
スキー板を説明するのは難しい。雪山に行ってスイーっと滑る、あのスキーをやる時に履くやつだよ。
「ワワワワワン、ガウ」
スキーと言ってもわからない・・・か。
私もスキーはやらない。だから家にスキー板もなければ、スキーグッズもなく、スキー友だちが居るわけでもない。急に「スキー」って言われたって、そりゃぁ理解なんて出来ないだろう。
スキー板が怪しいものでも何でもない説明って、どうすればいいのだ。
私の目線で見たスキー板はこんな感じで、
ダンボから見たスキー板はこんな感じ。
しかし、何でもパチパチと写真に撮っているが、これをもしそこのお家の人に見られたらどうするのだ。
あらいやだ、ご近所さん。
こんにちは。
寒いですね。
えっと、はい。
お宅の写真を確かに撮りましたが・・・。
いえいえ、家の中を盗み撮りしようだなんて、とんでもございません。
わたくしはただ、スキー板を・・・。
犬が吠えるので・・・。
検証用に・・・・。
えっと、ウチにはスキー板がないので・・・・
うーん。
ごめんなさい。
・・・・。
説明は難しい。
これでは挙動不審女になってしまうではないか。
とにかく私はダンボに対して、「スキー板は泥棒ではないんだよ」と言う。
そうして私は裏のお家の夕飯時に、「裏の人は盗撮魔かもしれないわ」と話題にのぼり、気持ち悪がられるのである。