夕方に降り始めた雪は、みるみるうちに積もっていった。
これで積もるまで雪が降ったのは日曜日から数えて3度目。都内でこんなに短いタームで雪が積もるのは、めずらしいんじゃないだろうか。
雪が積もると、地面が白くなるせいか夜が少し明るくなる。
いつもの夜なのに、いつもの夜じゃなくなる。
雪が積もって好きだなと思うところは、雪が音を吸って静かになるところだ。
シンシンと。
秘密を作るのなら、雪の日がいい。
見慣れたタクシーが、雪を乗せて青梅街道を通り過ぎて行く。
東京が知らない街に見えた夜だった。