投稿日:2007年02月06日

2007年02月06日

先月引っ越しをしてきたお二階さんは、非常に静かな暮らしをしている。前の住人は男性が二人だったので、ワンコが増えた今の方が生き物の数は増えたはずなのに、人の気配がするなと思う時がある程度であとは何が聞こえてくるわけでもない。
こんなに暮らす人で変わるものなのか。
適度な距離のお二階さんでよかった。というか、前の人が余程の荒くれ者だったのだ。考えてみたら私が一階で暮らすのはここが二軒目。前はテラスハウスで上は同居人の部屋だったが、生活音は気にならなかった。木造の一階に住むと必ずしも”他人の生活が丸わかりになる”というわけではなかったのである。
私の実家は木造の二階建て、今はどこもかしこも古くなったが、引っ越した時は新築のやや洋風の庭付き一軒家だった。だいたい一軒が70坪ぐらいの敷地で、建て売りの住宅でなく、土地を買いそこにそれぞれが家を建てるようなエリア。決して高級住宅街ではなかったが、いわゆる幸せそうなニューファミリーがマイホームを建てるタイプの新しい住宅地だった。
引っ越したのは小学校1年の7月。だが新築の家は最初の台風の時にひどい雨漏りとなり、その時からいらんこと言いの母は、父が建ててくれた家に父が居ない時にケチをつけるようになった。
「ウチは安普請だから」
台風が来る度に「ウチは淀川が切れたら流されちゃうわよ。安普請だから。」と言い、そしてもうひとつとても真面目な顔で口にしていたのは、「ウチは安普請だから、二階の底が抜けちゃうかもしれない」ということだった。
「えぇっ、二階が落ちてくるの?」
「そうよ。だから静かにしてちょうだい。」
ポッポやポンカンやキッカンやミホちゃんからも、そんなことは聞いたことがない。
「ウチだけがそうなるの?」
「そうよ。ここは安もんのウチだから」
ひどい母だが、当時はその言葉を鵜のみにしたのだ。
”私んちは、安もんのウチ・・・。”
二階で友だちとはしゃいでいると、「やめて!二階が落ちてきちゃうから!」と”ドスドス”に対して特に厳しいチェックが入る。
「ベッドみたいな重い物を置いても、二階は落ちない?」と、心配になって聞く時には、「さぁ、ウチは安普請だから。」と、不安を煽る。
おかげで私は家の中を静かに歩くことを身につけた。だから生活の中でも足音は静かなのだ。
今の部屋に来た時、「何てうるさいの・・」と、二階の部屋を見上げてゲッソリしたが、同時に自分が二階に住んでいた頃はこんなに下の人に迷惑を掛けていたのかと、過去自分の階下で生活をしていた住人に悪いことをしたなぁと思ったのだったが・・・。
今の暮らしが正常だったことがわかった。
前のお二階さんは荒くれ者だった。
そしてあの荒くれ者達が、安もんの家で育たなかったことを知ったのであった。


“ 2 件 ”のコメントがあります

  1. いーさん より:

    ポッポやポンカンやキッカンやミホちゃん達も、ほんまのコトを言えなかったんかもしれへんよーー^^
    今なら話してくれるかも?!・・・^^

  2. 吉川みき より:

    あはは^^今度聞いてみようかなぁ・・・。友達の家に行くと「ここは二階がつぶれない家なんだなぁ」と思いながら見てましたね〜^^親の発言は影響力が大きいのだ!

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