投稿日:2008年04月07日

2008年04月07日

バスに乗って駅まで行った。
バイクに乗るようになってからは、駅までバイクで行くことの方が多くなったので、出掛けに計算に入れていた「バスロスタイム」をプラスすることが減ったのだ。
でも、今日はバス。
雨が降りそうだからだ。
バスで出る時はバイクより15分程余裕を持って出る。比較的遅れないバスだが、それでも10分程遅れることがある。それぐらいのロスタイムを考えておけば、移動中にあせらずに済む。
しかし・・・・。
今日私が乗ったバスは、”板東さん”のバスだった。
<まだ、この人クビになっていないんだわ>
板東さんは「板東英二」によく似ているので私は板東さんと呼んでいる。そしてこの人が運転をする時には落ち着いて乗っていられない回が大変多いのだ。
「えぇーーっ」
「あぁーーっ」
「なんでーーー」
少しでも対向車がセンター寄りに走って来ると、「あぁーーーっ!」と言いながらバスを停めて、向こうが譲るまで動かなくなってしまう。まぁ、確かに対向車がこっち寄りにちょこっとはみ出たかな?と思わないでもないが、板東さんはヤケに他人に厳しい。時にはエンジンまで止めて待つ始末なのだった。
相手が同じバス会社のバスでも、いじけてバスを停めちゃうので、”この区間の遅延の原因は板東さんに有り”だと私は思っている。
<あ!板東さん>
「こんにちは〜」
板東さんは、乗客に対して挨拶をする運転手さんなのだが、私の顔は思わず曇る。
<板東さん、今日は私普通に駅に着きたいんです>
<頼みますよ>
座席に着くと今日は板東さんをいじけさせる出来事が起きませんようにと祈る。
しばらくすると・・・・。
今日も板東さんに事件は起こる。
「あ!今当たった!」
駅まで半分の所で板東さんは突然また大袈裟に叫んだのだった。
当たったって・・・・。
ゴンともバンともコツンとも言っていない。だいたい対向車はなかったし、当たったって一体何がどこに当たったのかわからないのだ。
「当たったよ。今のは」
「んもう〜〜っ」
「当たったよね」
乗客に話し掛けるが誰も返事をしない。
「降りて見に行った方がいいかな」
「当たった」
乗客で頷く人は一人もおらず、仮に当たったとしても木の枝か何かなのだ。そのヒステリックな大声の方が「当たった」感があって、バスの中はシンとしたままだった。
<板東さん、バスから降りないで>
<遅れちゃう!>
バス通りにある小学校は、今日が入学式。門のところに「入学式」の看板が出ていて、お母さんと男の子が看板の所で写真を撮っていた。
「当たったよ」
「絶対に」
板東さんはブツブツ言いながらだったが、”今日の大袈裟”はここでやめた方がいいと判断したのか、またバスを走らせてくれた。
大人もまだまだ勉強。
いじけている時間は、自分にとってロスタイムでしかない。
<お天気、もつかなぁ>
また私は窓の外の景色に目をやる。
バスは青信号を曲がり、花曇りの住宅街を後にしたのだった。


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