ダンボと散歩から帰って来ると、家の前の路地の所にご近所さんが立ち話をしていた。
「こんにちは」
挨拶をして家に入ろうとしたら、視界にピュンピュンと元気に動くものが入った。
子猫だ。しかも2匹。
ダンボがものすごく大きな動物に見えるぐらいのチビ猫ちゃん。斜め前の家の息子さんが2匹を貰ったそうで、前にこの辺りでよく昼寝をしていた白い猫も、男性の家の猫だったのだそうだ。
私は猫に嫌われることが多い。それらが累積していくらかは傷ついているので、もう最近はあまり自分からは近寄りに行かなくなったのだが、チビ猫ちゃん達は人懐こく早速近寄って来る。
バイクの下に潜ったり、雑草の匂いを嗅いだり。
いろんなことが楽しい様子。
いつもここに居た白いブタ猫ちゃんは、半年ぐらい前から見なくなっていた。どうしたのかなとは思っていたが、その猫が亡くなってそれでこの2匹がやってきたのだそうだ。
飼い主が居る猫と居ない猫、猫の方が圧倒的に犬よりもノラが多いだろう。外で生活をする猫は車にはねられたり、餌が定期的に得られるわけではないので、飼い猫に比べると寿命がうんと短いらしい。私は犬猫は愛情を注いでもらえる環境にあるのが幸せだと思うので、2匹の子猫が無邪気に遊ぶ姿を見てよかったなと思った。
「またね。ばいばい」
誰が自分のご主人さんなのかは知っているみたいで、最後はぴょんぴょん跳ねながら家の中に男性と入って行った。
ダンボもそう。散歩から帰って来ると迷わず自分の家に入って行く。ここが自分の家だと知っている。それが誰かの家で飼われている動物なのだ。
家の中に入るとダンボがえらくでっかく見えた。
「まだ生まれて1ヶ月なんだって」
名前もつかず犬舎で過ごした半年は、ダンボにとって自由の少ない我慢の日々だったんじゃないだろうか。
子猫ちゃん達、何て名前だったか聞くの忘れちゃったな。
「ダンボ」
名前と呼ぶと、りんごのような頭の形のダンボはもうこっちを見て嬉しそうに尻尾を振っていた。