ダンボちゃん。
今日はお前を病院に連れて行く日です。
頑張ろうね。
予防接種とフィラリアの薬をもらいに、今日こそダンボを連れて行かなければならない。午前の診察時間に間に合うようにと家を出たが、ダンボは既に怯えた様子だった。
病院はそりゃぁ私も嫌いなのだ。
でもダンボちゃん。今日行ってお注射をしてもらったら病気にならなくて済むんだよ。わかっておくれ。
ダンボは病院に連れて行くと、現在のところ100%の割合でウンチをちびって・・・というか噴射している。垂れる、もらす、といった風ではなく発射するように人に向けてウンチをするのだ。前に動物園のトラの檻の前でトラを見ていたら、いきなりトラがこっちに向かってやってきておしっこをひっかけられたことがあったが、あれはトラの攻撃だったと思う。だからダンボも彼なりの攻撃だと思っていて、本当にイヤなんだなということだけはわかるのだ。
ダンボちゃん、我慢してね。
診察台に乗せると大暴れしていたが
「チクっ。」
お注射は、無事終了。
でもダンボが嫌がるのはこの後の「爪切り」なのだ。どれだけなだめてもダメ。この世の終わりぐらいのものすごい表情をし息を切らしていた。
先生には笑われ、私も爪切りぐらいでこんなに大袈裟になっているダンボがおかしかったが、あまりの形相にこの犬は本当に爪切りが恐怖でショック死するかもしれないとだんだん心配になってきたぐらいであった。
ダンボちゃん、でもよく頑張りました。
おしまい。さ、家に帰りましょう。
犬にしてみれば、ベッドでくつろいでいたら突然外に連れ出されて拷門を受けたという印象になるのだろう。何も悪いことをした覚えもないのに、ひどい仕打ちをされたと私に対して恐怖心を抱いたとしても、気持ちはわからないでもない。
家に着いた途端、冷たい空気が流れる。
去勢をした時も数日間、私はダンボに嫌われた。怯えた目で私を見、決して近寄って来なかったが、今日もほぼ恨みの目つきで私のことを見ている。
本日もダンボはウンチをもらした。今朝はお腹を壊していて出がけに全部出しきっていたはずだったが、噴射するだけのモノが残っていなかったにもかかわらず振り絞って出していた。
ねぇ、もう機嫌を直してよ。
爪切りはダンボにとって拷門。100%ウンチをちびるので、腸内洗浄も兼ねる爪切りなのである。