場所は忘れてしまったが、以前セルフサービスの店でアイスコーヒーを頼んで、ガムシロップだと思って取ったものがレモン果汁だったことがある。
そのまま席に着いてガムシロップだと思って入れて、その上からミルクを入れ、かき混ぜて一口飲むと妙な味がした。
「何だろう。変な味がする」
確認でもう一度飲む。
「やっぱり変な味がする」
それでレモン汁を間違えて入れたことがやっとわかったのだった。
アイスコーヒーにレモンは合わない。
何にも似ていないただ妙な味がするだけ。
それを思うと、「カレー」というのは器が大きい。しょうゆを入れても人は美味しいと言い、ソースを入れても美味しいと言う。友人が作ったカレーですごく美味しかったのがヨーグルト入りカレーだったので、酸っぱい味や牛乳味まで受け入れてしまうという、カレーはおおらかな食べ物だなぁ・・・と思うのだ。
今はどうかわからないが、関西の方ではアイスコーヒーの季節になると喫茶店には「冷コーはじめました」という張り紙が店内に張られたものだった。涼しげにクーラーの所からヒラヒラとヒモが泳ぎ水着のポスターが張ってある。”レイコー”という言葉がアイスコーヒーを指す言葉だった頃だ。
カフェラテ、カフェオレ、カフェモカ。私が覚えられたのはせいぜいこれぐらいまでで、先祖を冷コーに持つ末えい達ももう種類が増え過ぎて、わけがわからなくなってきたのだ。そして新しい名前の飲み物にトライしても、品を受け取ったら店の人に「これはガムシロップを入れて飲む方がいいのですか?」と尋ねたりしている。
「冷コーはじめました」
年中アイスコーヒーが飲める時代となった。
銀色のトレーに乗ったナポリタンと冷コーのある喫茶店に久々に行きたくなったのだ。