一月に入ってから、寒さがしみるようになった。
水道の蛇口をひねっては水の冷たさに震え、服を着替えながら部屋の温度に震え、洗濯物を干そうと窓を開ければ外気に触れて震え、玄関を出たら重装備にもかかわらず震えている。
どっちにしても
お〜さむ、こさむ。
でも今日ぐらいの寒さはまだ”こさむ”なんだろうな。
「東京の寒さなんて寒さに入らないですよ」と、昨日お世話になっているご婦人が笑っておられた。ご婦人は岩手の出身で東京の冬は暖かくちっとも寒さを感じないのだそうだ。
この時期にプールに行くのは寒いと思っていたが、夏よりもプールに入った時の感覚はあったかいので、同じ温水でも冬の方が温水を実感出来る。
北風小僧のかんたろうの曲を流して、灯油屋さんが外を通って行く。
ねぇ、ねぇ。
私にはもう少し寒さが和らぐぐらいがいいんだけど。
少し寒さを持って行ってもらえない?
ヒュル〜ン、ヒュル〜ン、
ヒュルル〜ンルンルンルン〜
かんたろうは私の声に気付かず、ゆっくりと遠ざかって行ったのであった。