ブォ~ン、ブォンブォンブォン。
ブォオオオオ~~~ン。
また始まったか・・・・。
私の寝ているベッドの窓の向こうが駐車場なのだ。ここに2台の車が止まっているのだが、寒い季節になると持ち主が車を出す時にエンジンを暖める為結構長い時間アイドリングをするのだ。
短時間なら気にならない。だが、アイドリングも長時間になると雨戸と窓ガラスをすり抜けて排気ガスが家の中に侵入してくるのだ。これがとっても臭い。そうして、私は毎朝ベッドに居ながらにしてバスの後ろで待っているバイク時の状態となっているのだった。
郊外型のスーパーの広い駐車場やなんかでも、たまに「前向き駐車でお願いします」という看板を見かける。あの時は出庫しにくいのになんでなんだろうと思っていたのだ。エンジン音がうるさいから近所の人から苦情が来たのかなぁ?位にしか考えていなかったのだが、あれは音のことじゃない。
ブォ~~ン、ブォンブォオオオン。
あぁああああ。また出勤なんですね。
早く行ってくれ~~~。
ひとしきり空ぶかしをして、最後に大きなのを一回ブォオオン!とやってからようやくご主人は車を出して去って行く。クレームをつけられたらいいのだが、ご近所さんであるということと、「お宅のアイドリングで部屋に排気ガスが入って来るんです」と訴えたところで、「あぁ、それは申し訳ないことをした」と思ってもらえるとは思えない。子供が騒いで階下の人が「ドンドンされてうるさい」と言いに行くという話は聞いたことがあるが、排気ガスについては一般的には迷惑を被る人は、物音に不満を抱えている人よりも数にすれば少ない。従ってそんなことを訴えてもわかってもらえる率は低いということになるのである。
「あそこに住んでいる人、排気ガスが家ん中に入ってくるから、エンジンをかけるなってこの間言って来たんですよ」「まぁ、なんて神経質なんでしょう?エンジンかけるなって、そんな、無茶な話ですわよね〜」といつのまにか、極端な話にすり替わって私はクレーマー女として一気に変わり者になってしまうのである。
ブォ~ンブオオオオオン。
ブーーーーーン。
行ってらっしゃいませ、ご主人様。
私の冬は、毎朝排気ガス時計で目覚めるところから始まっているのである。