自宅の電話が鳴った。
「はい、もしもし」
自宅に掛かって来る電話は1/3がセールスの電話。1/3が間違い電話。そして1/3が私あてにかかってきた本当の用事の電話なのだが、今日は間違い電話だった。
「あの・・・」
「はじめてなんですけど」
男の人の声でこう掛かって来たら間違い電話。ここに引っ越して初めて掛かってきた電話がそうだったのだが、電話で女の子とお話出来る2ショットなんとかというところとうちの電話番号が似ているらしいのだ。
引っ越して来た頃は夜中や早朝に頻繁に掛かってきてうんざりしていたのだが、最近はすっかり「三島さんですか」の間違い電話の方が増えて2ショットなんとかの間違い電話はなくなっていたのだが・・・・。
「三島さんですか」の場合は何のためらいもなく相手は話し出す。
2ショットなんとかの場合は必ず電話の主は男性の声、そして緊張しているのか一呼吸おいてから思い切ったように「システムを教えて下さい」「はじめてなんですけど」と切り出されるので、もう「間」の具合で私もだいたい相手の輪郭がつかめるようになってきたのだ。
久しぶりの間違い電話だったが、私ももう慣れたもの。
最初は私も「えっ?えっと、あのぅ」と答えていたがそれは昔のこと。
「あっ、間違い電話ですよ〜」と明るく対応してサクサクっと対応をしながら、サクサクっと電話を切る。
電話を切ったあと、なんだか私は自分がベテランの風俗嬢になったような、一仕事をサラっと終えたかのような不思議な気持ちになるのであった。