ダンボを連れて病院に行った。6歳の頃胆のうと肝臓の働きが良くないことがわかってから、定期的に検診を受けながらの生活となったが、おかげで現在は薬を飲んだり様子を見ながら日常生活を穏やかに過ごせている。
病院嫌いなのは犬も同じ。ダンボは病院に連れて行かれる時、その行程から「今日は病院に行くのだな」ということがわかっていて、それはそれは暗い犬になる。
待合室には今日も数頭のワンちゃんねこちゃんが居て、好奇心旺盛な仔やケージにおとなしく入っている仔、大人しい老犬など待合室での過ごし方もそれぞれのタイプで違う。
ダンボは完全に私を無視をする。怖がるダンボを安心させようと抱っこをするのだが、その抱っこを払って私の膝の上から降りそして待ち合いソファの下にもぐるのが一番マシらしく、毎回私は他の飼い主さんに苦笑されているのだ。全然信頼されていない様子が一見にしてわかる。
家では「抱っこ抱っこ!」と言って甘えて来ることもあるというのに、病院の待合室では私の膝の上が不安でたまらないとは、飼い主として落ち込むのである。
いつものように検査で預けて、そして爪切りもしてもらってからまた戻って来る。そして診察を受ける流れになっているのだが、ダンボももうすっかりその流れがわかっているようで、検査で預けられて爪切りをされるのが一番嫌なことらしく、やや落ち着いて来る。そして診察が終わると家ではこんなこと絶対にしないというのに、自分からキャリーバッグの中に入っておとなしく帰る準備をしている。いつもここでは、他の飼い主さんに「まぁ!自分からバッグに入るんですね」とすごく躾の行き届いた犬のように言われる。確かにそれはすごい。バッグはケージと違って中に自分では入りにくいのだが、教えてもいないのにものすごく物わかりのいい行動をこの時だけ取るのだ。さっきまで苦笑されていたが、待合室のメンバーの顔ぶれが変わっていていい所だけ見た人からは「エラいですね、ワンちゃん」と声を掛けられる。
ダンボは「エラく」はなく「変わっている」。病院に来る日、あらためていつもそう思う。
ダンボ、病院終わったよ。帰ろう。
カマのように伸びていた爪も切ってもらった。
それにしても、お前。何かやっぱり私と似ている。うまく言えないのだがちょっと変わっている具合がとても他人とは思えないんだよねぇ。
まぁいっか。
早く帰ってご飯食べよ!
病院帰り、ダンボと私は自由を得た歓びいっぱいで外気を思い切り吸い込むのであった。