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投稿日:2007年12月16日

2007年12月16日

私が子供の頃、毎週日曜日の朝は「パルナス」のCMがテレビで流れていた。
「パルナス」は、今はもうなくなってしまったが、関西でチェーン展開をしていた洋菓子店で、私の家から一番近かった店は阪急高槻駅のバス通りを南に行った所にあった。
子供向けのアニメ番組の間に挟まるのだから、もっと元気が出る宣伝をすればよかったのに、「パルナス」の宣伝は影絵をバックに「ドナドナ」と同じぐらい暗いテーマ曲が流れるというもので、「美味しそう!」「ママ、買って!」というより、不気味な影絵と裏寂しく凍えそうな曲に、怖いイメージさえ与えたCMだったのだ。
マイナーな曲調で「おとぎ〜の〜く〜に〜の〜ローシア〜の〜」「パルナス、パルナス、モスクワーの味〜」と、歌われたことによって「ロシア」「モスクワ」は、人々が笑わない、年中寒いところなのだと悲しくなり、CMを見たことによって、多分私は「パルナス」のケーキを食べたくなくなったのだ。
店の前を通ると、「ここがパルナスだ」と目をやるのだが、<ロシアとモスクワは暗く寂しい→きっとケーキもカチカチで美味しくない>と思ったものだ。店の人も暗くて怖いかもしれない。暗い国のお菓子は砂糖なんて沢山使えないのではないか。子供の想像力というのは、いい意味でも悪い意味でもものすごく膨らむのである。
影絵と暗い曲の影響で、私はパルナスのケーキをついに一度も口にすることはなかった。
関西で育った私と同世代の大人の多くは、日曜日の午前中に流れていたあの裏寂しいCM曲を歌える。そうして、「あそこのケーキ、美味しかったな〜」という話にはならず「あのCM、怖かったわー」となる。
パルナス、パルナス、モスクワーの味〜♪
で、モスクワの味ってどんな味だったの。
もう今はなき「パルナス」。
だが、子供達に多大な影響を与えた「パルナス」だったのだ。