ポストにまた、ダンボ宛のダイレクトメールが届いていた。
またか・・・。
ポストの中にはチラシやダイレクトメールなど、「入れていらん」紙がいろいろ入っていて、それを家の中の古紙入れに捨てる時、私は毎回ちょっと腹を立てている。
「もう・・・次から次へと・・・こんなん入れていらんのに!!」
だがダンボ宛のダイレクトメールだけは、びみょ〜な気持ちで眺めてしまうのだった。
「吉川ダンくんの保護者さまへ」という添削学習の販促郵便物、これが届くようになってからはもう数年になるのではなかろうか。きっかけはダンボの名前で10000人に当たるという懸賞に応募をしたことだった。しおりやメモ帳、シールなどの子供用のセットが当たって喜んだのもつかの間、それを機会に昔私も続かなかった某ゼミの添削学習セットの申し込みのおまけつきダイレクトメールが届くようになったのだ。
ダンくんは今小学4年生コースを勧められている。
そうだ、懸賞の応募の際に私がダンボの生年月日をそのまま記入したので、確かに人間に置き換えたらそんな年になるだろう。ダイレクトメールは春になるとしっかい進級する。小学2年生のダイレクトメールを受け取っていた頃は今は昔、来春には小学5年生のダンくん宛にダイレクトメールが届くようになるのだ。
ダンくんは、まだ字が読めない。
以前おまけについてきた赤ペンは保護者の私が使っている。
今回のおまけは「暗闇に光るけしごむ」。
すみません、本当に。ごめんなさい。
「冬休みに苦手をなくして、この先学力を伸ばし続けませんか」
と、書いてある。
ダンくんの苦手は未だにおしっこがおしっこシートからはみ出てしまうことである。しゃがんですればストライクゾーンにおさまるのに、足を上げてシーっとやるから思わぬ遠くまで飛んでしまい、私に「おしっこ、はみ出てる、だめ」と叱られてばかりいる。
他の苦手はお風呂。
テレビの中で鳴るピンポンの音はウチのじゃないということがわかるようになったが、人間で言う60歳ぐらいになった今もそんなに賢くはならなかった。
ダンくん宛のダイレクトメールを受け取ると胸が痛む。
「あの、、本当は犬なんです」
と、電話を掛ければいいだけの話じゃないか。
それが出来ずに今日も悶々としている私はへたれなのである。