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投稿日:2011年05月05日

2011年05月05日

朝、雨戸を開けたあと部屋の床にモゾモゾと動く物体を発見した。
ゴキブリ?
いや、もうちょっと分厚い昆虫だ。
蝉?
少し近づいて見ると蝉蛾だった。蝉蛾の本当の名前は知らないが蝉に似た蛾のことで、私が大嫌いな昆虫のうちの一つなのだ。
多分さっき雨戸を開けたあと、しばらく外の空気を吸って「気持ちいいなぁ〜」と深呼吸しているうちに入って来たのだろう。
どうしよう。厚みのある昆虫になると、気持ち悪くてつかむ勇気がない。
「ダンボ〜〜〜!!」
ダンボに頼ったってどうしようもないのだが、つい口からダンボという単語が出て居た。
「ダンボ、助けて。あれ!あれ!ほら!」
ダンボは一応たまに男気があり、私が頼ると「よし、オレが頑張る」と頑張ってくれたりするのだ。
タカタッッタカタッ。
よくわからないが、ダンボが蝉蛾の方に走って行って猫がじゃらすようにして蝉蛾にちょびっと手を出す。そしてしばらくじゃらしたあとで・・・
<で、どうしたらいいの>
ダンボがこっちを向く。
殺してしまうのは気分が重いが、かと言って飛んで来られるのはもっといやだ。
「ダンボ、頑張って!」
何を頑張ればいいのかわからないが、ダンボがまた蝉蛾に手を出した。
少しじゃらすようにしたあとで、またこっちを向いた。
<頑張るって何を?>
そうだよね。
ここで死骸になってもらうのは困る。一番いいのは・・・
今入って来たところから出て行ってもらいたいのだ。
恐る恐る窓を開けると・・・・、
蝉蛾はのそのそと窓へ歩いて行った。
のそのそ、のそのそ。
窓の桟まで来るとそこからピョンと飛び降りた。
そしてまるでウミガメが海に帰るかのように、彼は去って行ったのだった。
<あんたら、大げさやな>
一番小さいが、彼が一番冷静な生き物であった。