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投稿日:2013年09月13日

2013年09月13日

山本かおりちゃんのコンサート。

会場の古賀政男音楽博物館、けやきホールがある建物は井の頭通り沿いに建っていて、週に2日は前を必ず通っていた。

入り口から見たら半地下に階段を降りるとそこがホールだ。

かおりちゃんとは何年か前にJam For Joyというイベントで知り合った。その後、ある日の夜にドラムの滝山くんが「美味しい餃子のお店」に、かおりちゃんと私を誘ってくれて、そこで3人でご飯を一緒に食べて初めてゆっくり話をしたのだった。

連絡先を交換してそれから会ってはいかなった。ご飯を食べた時も他人にとっても気を遣う女の子だった。私が「怖い姐さん」に見えていて、ビビッているのかもしれないと可哀想に思っていたぐらいだ。

だから、サポートピアノとして今回誘ってもらえたことがとっても意外だったし何より嬉しかった。


(ベーゼンドルファー。一番下の鍵盤が黒いモデル225だと思います。黒鍵盤は使いませんでしたがこのモデルは初めて弾きました!)

初めてのホールでのコンサート。路上ライブを重ねてきた彼女にとって、ライブに慣れていたとしてもやっぱり場所が変わるわけで、きっと緊張とプレッシャーの連続だったのだと思う。でも餃子屋さんで会った時の気遣い少女は、連絡事項のメールを送ってくれる時も、リハーサルの時も、本番日も変わることなく気配りを常にしながら主役をしっかり背負っていた。

ときどき目の前の不安に押しつぶされそうになりながら、なんとか頑張って踏ん張って課題を乗り越えてゆく。

はたから見ているととても危なっかしくて心配になるのだけれど、気が強いだけの女性には決して持つ事が出来ない本当の意味での強さ、私の尊敬する「強さ」を彼女は持っている。

本番中、ステージ上のメンバーのあたたかさ、お客さんのあたたかさが私の座る下手側のピアノからよく見えた。一生懸命、目の前のことを頑張るかおりちゃんが居る。「頑張れ」と応援しているはずが、いつのまにかこちらが癒されている。

音楽はいろんな力を持っている。

その中で「ねじ伏せる」という力だけは、音楽にはふさわしくない。

北風と太陽でいう「太陽」のようなあたたかさ。

真夏の太陽じゃなく、春や秋の穏やかな日のような日差し。

退館したら出待ちのファンの方が何人かかおりちゃんを待っていた。

「おつかれさまでした」

そうかけられた声もあたたかかった。

人をあたたかくさせる力は尊いものだと思うのだ。