父方の祖母の誕生日は4月3日”だった”。
「オラの誕生日は4月3日だわ」と、言っていたので誰も疑わなかったのだが、ある日何かの書類からだったか、祖母の誕生日は4月3日ではなく3月4日だったことがわかったのだ。
その時、既に私は成人していたかそれぐらいの年だった。祖母はもう80歳代だったのではなかっただろうか。家族みんなで驚いたが、自分の誕生日が一月も違っていたことに本人が一番驚いていたのだ。
しかし長年、そうだと信じて老人にまでなってしまったので、またしばらくすると祖母は自分の誕生日を4月3日だと言うようになっていた。
80代になって、本当の誕生日を言えることが大事かと考えたらもうどっちでもいいなという気がしたので、最初は家族も訂正していたがそのうちにしなくなり、結局祖母の誕生日は4月3日に戻っていった。
父も本当は5月の末が誕生日らしいが、6月1日に届けを出したので戸籍上では6月1日になっている。祖母や父の世代は、戦争などの混乱もあって誕生日はそれぐらいの”だいたいの感じ”でいいものだったのだと思う。
今は自分の誕生日を間違える人は、ほぼ居ないのだろう。
生きていたら何歳だったかなぁ。
明治何年の生まれだったか・・・、私ももう計算が出来ない。
物心ついた時から、祖母は私の目には「シワシワのおばーちゃん」だった。別にまだシワシワのおばーちゃんでもなかったんだろうが、私には初めからおしまいまでずっと”おばーちゃん”のままだった。
天国で知り合ったシワシワの友達に言っているんだろう。
「あれまー。今日はワシの誕生日だわ。」
いや、天国では18歳ぐらいの乙女の姿になれるのかもしれない。
雲の下からハッピーバースデー。
雲の上はいつも快晴なんでしょう。
元気でいてね。
海外より、もうちょっと遠いところにいるおばーちゃん。
会いには行けないけれど。
新しい年がいい一年になりますように。