日別アーカイブ : 2011年3月11日

投稿日:2011年03月11日

2011年03月11日

4月のライブのゲストに来てもらう山本ふじこさんと高円寺で打ち合わせ。
高円寺の駅の北口から少し歩いた所に「ハティフナット」という可愛いカフェがあるのだ。木で出来た小さい可愛いドアを開けて軽くくぐって中に入る。森の中の秘密の小屋っぽい私のお気に入りの店なのだが、ギシギシと音がする木の階段を登って2階の席で待ち合わせをしたのが1時。
ライブの打ち合わせも終わり、いろいろな話でいつの間に時間が過ぎて、あらためてケーキセットでも頼もうかとメニューを頼んだあとのことだった。
<グラグラ>
横揺れを感じた。
「地震・・・」
東京ではこのぐらいの揺れはもう慣れっこになっているので、誰も騒いだりもしない。
私も、もう揺れが収まるだろうと思っていた。
<グラグラグラグラ>
揺れは収まらずどんどん大きくなった。
お店の人が逃げて下さいと言ったみたいだったが、私には聞こえず振り返るとお客さん達があわてて階段の方に逃げて行くのが見える。
でもなんだか私はそのまま動けなかった。<今何が起こってるんだろう。><建物がつぶれるかもしれないな><木造だからつぶれても命が助かるような気がする>
<でもこれは一体何の揺れ?>
たくさん考え事をしてもまだ揺れていた。大きな縦揺れが来ることを覚悟していたが、縦揺れはなく横揺れが大きいまま揺れていた。
隣りの席の赤ちゃんとママ2組と私達が残っていたが、全員が階段に向かった。
まだ揺れていた。食器が落ちて割れる音がし、すぐ近くで何かが落ちたドーンという音がした。
私は真面目にこの時思った。
地球が何らかの理由で終わるのかもしれない。急にこれで私達は終わるんだ。そう思ってカーっと頭に血が上った時に揺れはようやく収まった。
さっきドーンという音がしたのはスピーカーのうちの一つだった。ふじこさんが揺れながらも私をかばってくれていたが、スピーカーはほんの少し落ちる位置がずれていたらふじこさんの頭を直撃していたと思うとゾっとして、この幸運に感謝をした。
たくさんの人が外に出て呆然としていた。高円寺という街は割と物事に動じないマイペースな人が多く、少しのことで慌てない印象があったが今日は様子が違った。民家の大きなブロック塀は壊れて崩れ、また別の場所では鉢が割れていた。何がなんだかわからないまま二人でぼんやり歩いたが、神社の3メートルほどある大きな灯籠が3つぐらいに割れて横倒しになっていた。
ふじこさんと別れてから帰り道を歩き出すと、「また来たよーー」という大きな声がして道が大きく揺れた。昔の私だったら俊敏に対応していただろうが、今はみんなより体力がない。安全そうな場所で立ち止まり転ばないように平衡感覚を捉えるのが大変だった。
偶然タクシーがそばを通って乗せてくれて、それで家まで帰った。
家の中、ぐちゃぐちゃだろうなぁと思ったが、二つ陶器の置物が割れていた以外壊れたものはなく、思ったよりうんと家の中は変化がなかった。ただ犬だけが耳をペチっと後ろに倒したまま丸まって私の顔を睨むようにして見上げていたので、やっぱり恐かったんだろう。
地震ってどこにどんな大きさのものがやってきたのだろうか。
テレビをつけると想像もしていなかった被害が画面に映っていた。東京であんなに恐ろしかったのだから震源地に近い場所だとどんなに恐ろしかっただろう。
都内も電車が止まり、車も走れなくなったようだ。
最初の地震からずっと揺れている感じが収まらない。気持ちが悪い。
興奮状態が自分に続いている感覚がある。