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投稿日:2012年08月10日

2012年08月10日

「よーしよしよし」
「いけーっ」
最初は寝言かと思った。
まだ3時台の真夜中に主はサッカー女子の決勝を応援している。試合が終わるまでずっと応援をしていたので、結局寝ることも出来ず今日はとっても早起きとなったのだ。
今日は退院日。
家に帰るにあたって、仕事先に置いてきたバイクを取りに行ったり、家に帰ってからの食料品や日用品を買いに行ったりしないといけない。退院は会社のY氏が車で迎えに来てくれるので、とても助かる。
一昨日の血液検査の結果は輸血4単位のおかげでヘモグロビン値が9.6。一ヶ月の病院食のおかげでヘモグロビンa1cが7.9から6.6へと大幅に改善していた。
「退院、よかったですね」
Y氏がお迎えに来てくれると、次回の外来日までのお薬をもらって、無事に11時前に病院を後にすることができたのだった。
今から行くのはまず三宿。入院の日からずっと置きっぱなしだった原付を車に積んでもらうのだ。会社の車はもう普通の車にして、たまに私に貸して下さいよ!と言っていたが、原付が積める車でやっぱりよかったと今日は思ったのだ。
今日はお盆休み前の〝五十日〝。どの道もとっても混んでいる。三宿で原付を積んでもらってから家に着くまでの間もずっと渋滞続きだった。
一ヶ月ぶりの我が家。Y氏のお宅で預かってもらっていたダンボとここで再会をした。
「ダンボ!」
耳をペチっと倒して、ちょっと離れたところでモジモジしながら尻尾を目一杯振っている。私があまり身体がよくないことは、仔犬の頃からなんとなくわかっているようで、多分今回の再会の理由も理解しているんじゃないだろうか。そんな気がする。
退院して一週間は家で療養予定なので、荷物を置いたら外出しなくていいようにと食料品と日用品を買いに大手スーパーに連れて行ってもらう。
野菜やパン、少し保存のきくものや果物に飲み物。お米がなかったのでお米も必要か…。明日は通販で頼んだ低カロリーおかずセットが二週間分、冷凍でやって来るので、冷凍庫は空けておく。それでもレジで一人暮らしとは思えない12000円近くを支払っていた。
あぁ…これで家に帰って買ったものを仕舞えば、後はお礼を兼ねて遅い昼食を食べに行って、それで本当の無事退院になるんだわ。
と、
ホッとしながら家に入ったのだった。
まず冷蔵庫に品物を入れて、続いて冷凍庫を空けた。
すると…
冷凍庫がなんか生温かい。
中の物を取り出してみると、八割がた溶けているではないか。
再度冷蔵のエリアをチェックしてみると、冷蔵の方も冷気が出ていない。どうもこの冷蔵庫は半日ほど前に壊れたと思われる。
なんで。
こんなに沢山買って帰って来た今日みたいな日に。
しかも明日の午前に二週間分のおかずが冷凍で届くのだ。
おー、まいがー。
ネットで調べると修理をすれば直るだとか、2日程休ませれば復帰するとか方法が書いてあるが、買って来た冷凍食品が既に溶け始めている。
オーマイガァアアアーーーっ。
これでホッとひと息。のはずではなかったの?
「い、今から冷蔵庫を買いに連れて行ってもらえますか。」
体力を温存する方法は、代償にお金を遣うということなのだ。もう病気と付き合うようになってからは、嫌という程思い知らされてきた。
そうして急遽、予定外も予定外だった冷蔵庫問題を解決することになったのだった。
取り急ぎ一番近くのコジマに連れて行ってもらう。そしていきなり「冷蔵庫、今日買って今日このあと運んではもらえないでしょうか」と交渉をする。一度は断られたがそこをなんとかと粘ってOKを貰う。
「じゃあ、これにします」
まるでキオスクで缶コーヒーを買うかのように、吟味もせずに家電を買うのは初めて。いいのかしら。というより、何で家電店にいるのかしら。一体私、何してるんだろう。
疲労でクラクラしてきた。
とってもしんどい。
でもY氏が居て本当によかった。一人になってから冷蔵庫問題が起きて居たら間違いなくてんぱって泣いていた。
もうちょっと値切れたと思うがそんな元気もなく、大人しく支払いをする。5時以降になりますが伺いますと返事をもらってようやく一つ問題が片付いた。
そしてようやく遅い昼食。
Y氏、すみません。
家に連れて帰ってもらってからは、古い冷蔵庫を引き取ってもらう準備で冷蔵庫の中の物を出して、処分などの仕分け作業で忙しかった。
昨日までの私は。
一人で一階に行ってはいけないと言われていて、移動も車椅子を押してもらっての移動だった。歩けます。歩くことにも慣れないと。と、言ってもお許しが出なかったというのに、今は大掃除みたいなことをやっている。
クラクラする…
2010年消費期限切れの食品が出てきたが、もう「ぎゃー」などと叫ぶ元気もなく。
もくもくと…。
大掃除。
そして…。
新しい冷蔵庫が届いたのが6時半。ようやくこれでY氏に「後は一人で出来ますから」と言うことが出来た。
冷蔵庫が冷えるのを待って、それからさっきせっせとクーラーの前に運んだ品物をまた新しい冷蔵庫に運んで、ふぅーっと息をつけたのは夜の9時だった。
物を運び往復をしながら、なんかアリっぽいな・・・・と何度も思った。
冷蔵庫が壊れたらものすごく困るというような食料品の買い方をしたのは、今日が人生初だったそんな日に冷蔵庫を買い替えることになるとは。
長い長い一日だった。
今日は「退院をした日」というよりも、「冷蔵庫が壊れてめっちゃ困った日」だという印象が圧倒的に強い。
これが日常生活というものなのだと、思い知らされた〝退院の日〝なのであった。