今日の午後から帰省予定で準備をしていたが、大晦日からダンボの調子が悪くて今朝も下痢をして食欲がない。
ダンボは肝臓と胆のうに持病があるので、見極めが少し難しい。1〜2日で元気になればいいのだが、今朝も元気がないのがどうも気になる。
調子の悪いダンボを連れて行くのは心配・・・。
どうしようか。
実家に戻るのを一日遅らせて様子を見ようか。
まだ午前中なのでとにかくダンボを病院に連れて行くことにした。
ダンボは大事、だが父しげおっちも今日私が帰らないと知ったらとてもガッカリするだろう。病院で検査をひととおりしてもらうと、持病の悪化ではなく気温の変化などによる胃腸障害だろうとのことで、皮下点滴を打ってもらったらダンボはすっかり元気になった。
診察代とタクシー代で25000円が飛んで行った。
ダンボちゃんは我が家の金食い虫。
まぁ、いいか。元気が戻ったなら。これで、今朝”一旦白紙”の方向に向かっていた里帰りも予定通り進めることにしたのだった。
それにしても・・・。
早速、東京発で乗る予定だった新幹線に間に合わなくなった。
あれほど準備を前もってしていたというのに。
まぁ、しょうがないか。
とにかくしげおっちがこの場に居なくてよかった。
もしも。この状況を父しげおっちが見ていたら、ものすごく怒るパターンなのだ。何かしらのアクシデントが起こると癇癪を起こし、一番言いやすい周りの誰かにヤツ当たりをして余計にむちゃくちゃなことになるので最終的には何かが起こったダメージよりも父が癇癪を起こしてその場を破壊したダメージでみんなが疲れるのである。
1時間遅れのひかり号の自由席に乗って京都に向かう。早いうちにと小田原を過ぎた辺りで家に電話をする。事情を話して京都に着くのが遅くなるということ、家に帰れるのは8時ぐらいになるということを伝えて、京都までの移動時間、ようやくホっと息をついたのだった。
そうして。
京都駅に着いたのが6時15分。ここからレンタカーを借りて実家に着いたのが一時間後。家の前に着いたら待ち切れなかったのか家から飛び出て来て、駐車場の係の人のように、いやもっと怖い仕切り方で車をとめるのをリードしていた。
実家に到着。
約束の8時よりうんと早く着いたというのに、しげおっちはご機嫌がよろしくない。どうしたのかなと思ったら、私が椅子に座るなり怒りをぶちまけるのだった。
「千絵たちは今日だ〜れも来えへんかったんや」
お正月は毎年2日に車で30分ぐらいの所に住む妹一家が訪ねていたので、今日の午後は私も妹達が来ていると思っていたのだったが、そうではないらしい。
「ほんでな」
「今年は年賀状もよこさへんかってん!」
年賀状は別によこさなくてもいいと思うが、とにかく今日の午後に待ちぼうけを食らったことがよほど腹が立つらしい。
「でも、お父さん。私が来たじゃない。」
話題を少しそらそうとしたが全く私が来たことに対する嬉しさはない様子。
「千絵は”他の友達は実家に帰ったら落ち着くと言っているけど、私は一回もそんなことはなかった”って言うとった。そんなことあるか!」
いえいえ、それは私も全く同感。
私だってものすごく勇気を出してこの”うつぼかずら”に帰って来たのだ。
さすがに疲れが襲ってきた。それに輸血を受けながらの身体は基本的にしんどいのだ。
「あのね、お父さん。少ししんどくなっちゃったから今はあまりいろいろ話さないでもらえるかな?」
そう言ったが・・・
「ワシは!今話を聞いて欲しいんじゃ!」
と、逆切れされた。
結局最後は「あんた、今から電話して明日は来るように言って」と言って受話器を渡されていた。留守だったのでメールで「電話一本かけてあげて」と送ってそれで終わりになるかと思ったが、しばらくたってから再度今度は自ら電話をかけて孫に「今日は何してたん」「あのね。明日は来た方がいい思うがな」と70歳も年下の子供にわがままを述べているのであった。
はふぅ〜。
「その犬は、前にも連れてきた犬かいな」
ようやく父も落ち着いて、私と犬が訪ねてきたということに目を向けてくれた。
「前にも来た犬ですよ」
「何て名前やねん」
「ダンボです」
「マンボか」
どうせ名前を覚える気もないのだろう。自分のことにしか興味がない人だ。
あぁ、疲れたなぁ。お風呂入りたいな。ゆっくり湯船につかりたいな。
去年の里帰りでは”ワシは風呂には入らん”という理由で「お風呂禁止」令が出された。シャワーもしぶしぶ使わせてもらった経緯があったので「湯船」はダメだろうなと思っていたが、今日はシャワーも使ってはいけないと禁止令が出た。理由はやはり”最近はワシも2週間に一度しかシャワーはせん”からだと言う。
「シャワーもやめといて。」
えぇええええっ。シャワーも入れないの?
「タオルで身体を拭くだけで十分や。ワシもシャワーせえへんもん」
あぁあ。帰って来るんじゃなかった。
私、耐えられるかしら。今日から3日間。
ふと思い出したように父は妹のことをまた怒っていた。
「実家が落ち着かんとはけしからん!」
ちっとも落ち着かない実家なのである。