雪。
あっという間に積もって、夕方の仕事へはタクシーで行こうとしたが、いつもより倍以上早く電話をしても配車センターにつながらない。
他のタクシー会社にも何軒か電話をしたが全部つながらなかったので、仕方なく早めに家を出た。
雪国では日々雪が積もった中で生活。それが東京になると一日それも雪国とは比較にならないほどの積もり方で、こんなにみんな慌てるものなのかと少し驚く。電車がいろんな路線で運行を取りやめたり大幅に遅れたりしていて、私の待っていたバスも大幅に遅れて到着したみたいだった。
駅に着いても電車はいつもの様には来ない。
渋谷駅についたら駅前が雪でドボドボになっていた。
せっかくの成人式なのに、ちらほらと着物を来た新成人が裾を気にして歩いている。タクシーもつかまらないみたいで大変そうだ。
普段の倍以上、時間に余裕を持って出掛けたが仕事場に着いたのはギリギリの時間になっていた。雪国の人が見たら東京のこの今の慌てようは滑稽に映るかもしれない。だってみんな「一大事」の形相でいるからだ。
仕事を終えて帰りは偶然タクシーに乗ることが出来た。
ノーマルタイヤだとちょっとした坂でも車がスリップして動かなくなるらしく、昼間は電車で移動した方が結果よかったよと運転手さんに教えてもらった。あちこちに動けなくなる車が出て渋滞がひどかったのだそうだ。
一面真っ白な帰り道。
タクシーの車は雪でも大丈夫な装備で走っているのだそうだが、それでも道が滑るようで時速10キロのノロノロ運転で進んだ。環七も井の頭通りも、見たことのないぐらい動けなくなって放置された車があちらこちらに止まっていて、静かな景色だった。
雪の日は家の中で過ごせるのが一番いいな。
無事、帰還。
ただ家に帰っただけのことがそれぐらいの出来事に思えた東京の雪の日だった。