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投稿日:2008年12月06日

2008年12月06日

新宿に出掛けた。
新宿だと大抵は高島屋か伊勢丹方面に行くのだが、今日はバイクで行ったので、あまり行かない京王百貨店の方から入ることとなった。
あっ。
ここは・・・・。
もう10年以上前になるが、私はここでエラい目に遭ったのだ。
それは、京王百貨店の地下売り場にエスカレーターで降りた時から始まった。
その日も多分私はどこかに行く途中にたまたまこの辺を通ったのだと思うのだが、エスカレーターを降りた辺りで中学生ぐらいの少年に声を掛けられたのだった。
「小田急百貨店の前のバス乗り場はどこですか」
見ると、少年はぶ厚いメガネを掛けて白い杖を持っている。看板が読めなかったりして、こんな人の多い所では特に不安にもなるだろう。私も小田急百貨店のバス乗り場はどう行ったらいいかわからないが、じゃぁ自分が誰かに教えてもらえばいいか。
「ちょっと待っていてね」
少年に声を掛けてその場を離れたのだった。
しばらくして。
道順を通りがかりの人に教えてもらって、少年の元に戻って「ここを真っ直ぐ行って、それから」と、道を説明していると・・・
「ボク、足が痛くてもう歩けない」
「え?」
「おんぶして」
「えっ、えぇえええ〜〜〜っ?!」
おんぶって・・・・おんぶ?
道を説明して私はそれで終わりのつもりでいたが、少年はそこまで一人では行けないと悲しい顔をして言う。だがいくら小柄な少年とは言え、おんぶして300メートルはある道のりを歩くのはキツい。よりによって何故またこんな体力の無さそうな私が・・・・。
しょうがないので行けるところまで行くしかないなと、少年をおぶって新宿の地下道を歩くことにしたのだが・・・・。その姿は相当奇妙だったと思う。すれちがう都会人達はみな冷ややかに「そこに居ないもの」として私達を扱っていた。
とにかくおんぶでヨロヨロとバス乗り場のそばまでは来れたが・・・・・。もう足はヘトヘト。ものすごく疲れた。そこに最後に「階段を登る」という途方に暮れそうなヤマが待っていて、フラフラになりながら少年をおぶって階段を上がっていたのだったが・・・・。
なんと。
階段を上がっている時に、少年は手を私の胸の所にやって「モミモミ」したのだった。
え!うそ!
偶然手が当たっただけかもしれない、と一度は思ったが、一度でなかったので残念ながらそれは違っていた。
ショック。
<キミ、歩けなくて困っていたんじゃなかったの?>
急に脱力して階段の途中で取り合えず、「ごめんね。おねえちゃん、もうしんどい」と言って降りてもらった。
「大丈夫?おねえちゃん」
「ボクがおんぶしようか」
ちょっと、なによ!
ピンピンしてるってことじゃん。
しかし人間、体がクタクタになると脳みそもクタクタになるのである。クタクタになってしゃがんで居たら少年が私の手を引っ張って地上まで連れて行ったのであった。
最後に少年に「おねえちゃん!」と言って抱きつかれ、逃げるようにその場を立ち去ったのだ。
くそ〜。
あの少年め。
もう今会っても、私はキミをおんぶ出来ませんよ。
それにしても・・・。
当時、この話をしたらみんなに笑われた。
私だってビックリ。
実にとほほな失敗をした新宿での出来事なのであった。