なんとなく、午前中から夕方にかけて気分が重かった。
やっぱりスパっと切り替えられないのだろう。
隣りのベッドの患者さんは骨髄移植を控えていて、今回は移植に備えて抜歯をする為に入院をしたのだそうだ。もうすぐ一時退院。次は移植の為の入院が待っている。
「ヘモグロビン、幾つなんですか?」
とか、
「血小板、下がっちゃったんです」
とか、
「私は一週間に一度の輸血なんですよ」
とか…。
この数日でいろいろ話をした。
「赤血球」の輸血と違って「血小板」の輸血は、効果のある期間が短く、かつ輸血を繰り返しているうちに効果が出なくなる。だからあくまで暫定的な処置で使われるのみで、頻回には出来ないのだそうだ。私も血小板をいよいよ輸血せざるを得なくなって、何らかの治療をするしかなくなってしまったのだが、隣りのベッドの患者さんは私がはじめて会うことが出来た「自分と同じ状況」の方だった。病名は違うのだが、それでも似た状態の人に出会えたことが嬉しかった。
「もうね、頑張るしかないから」
そうです。頑張って元気になって下さい。そうか、みんな心細さを精一杯払って一歩踏み出しているんだ。
生検の結果はやはり一週間以上はかかるらしい。とにかくその結果が出ないことには、何科が主導する治療になるかの方針もたたない。そう説明があって、土曜日に一時退院することになった。
外来で輸血と血小板輸血を受けての自宅待機。まさか想像もしていなかった流れだが、こんなこともあるのだろう。治療が決まらないのなら自宅で何にもせずに過ごすのもいいかもしれない。
夕方、ブルースアレイで一緒に演奏した失速バンドのCちゃんとYちゃんがバンドメンバーのメッセージを持って訪ねてくれた。
外は雨。
二人が帰ったあとで、天気に気づいた。
こんな雨の中時間を作って来てくれたんだなぁ。
悲しく辛いことばかりじゃない。暖かい想いを私はいつもたくさんもらっている。
もうちょっと頑張ろう。
今日をつないで、つないで、行こう。