午前中、MRIの検査に呼ばれて行く。
今日は5月末の入院で同室になったこばちゃんの退院日。明るい人だったので彼女と話していると病気のことを忘れてよく笑った。一度は私が見送られて、今日は見送る日。寂しいけれど退院はやっぱり嬉しい。
彼女が帰ってからもらった手紙を読んだ。
こばちゃんは「見える」人らしい。
「感じる」人でもあるみたいで、入院中に彼女の不思議な体験談は聞かせてもらっていたのだが、こばちゃんからの手紙には私のオーラの色が見えていたこと、他にも不思議な話が書いてあった。
「きっと良くなるよ!」
お手紙はお守りに変わった。
心強くなって穏やかに過ごしていると…。
それから数時間後、心臓のエコーを撮りに二人循環器科の先生から「来週の月曜日、手術なんですよね?」といきなり言われる。
「へっ⁉手術⁈ですか⁈」
「あれ、説明受けていませんか?」
「いいえ、受けていません。どういうことなんですか?」
「えーっと」
「何の、何処の手術なんですか?」
「いえ、何も聞かれていないのなら…」
「何のことなんですか?」
すると二人の先生はモゴモゴしてその話をうやむやにしてエコーを撮った後すぐに去って行ったのだった。
急にものすごく不安になる。
手術だなんて聞いていないし、一体どうなっているんだろう。
看護師さんに尋ねに行ったら看護師さんもビックリしてそんな話は聞いていないということで確認をして先生から説明に来てもらうことになったのだった。
昨日の外科外来にしても、今日のことにしても、連絡がちゃんと取れているのかしら?と不安になってきた。
夜になって呼吸器外科の先生が来て、連絡の行き違いだったということ、今今後のことはMRIなどのデータを見ながら手術を含め治療方針を検討しているという説明でようやく現状がわかった。
近々、呼吸器外科の病棟に移るみたいだ。
治療日程や流れも既に「放射線治療」に決まっていたのが、土曜日の一件があったことで振り出しに戻り、思わぬ再考されることになった。何かの力が働いてまた私の運命の舵が切られているのか、それとも気のせいなのかわからない。
とにかく私という船は今どこにむかっているのかわからない。
どこにいくのだろう。
また、こばちゃんからのお守りを握り
しめていたのだった。