ダンボは時々拗ねる。
ベッドの下に入ったまま、呼んでも出てこなかったり、隣の部屋の椅子に乗ったまま動こうとしなかったり、布団にもぐっていじけていたりする。
どうしたの?
あきらかに目は恨みの目つき。
一緒に暮らす犬はこれで4匹目なのだが、こんな顔をする犬ははじめてなのだ。
構ってあげなかったからなのだろうか。いいや、そんなことはない。構ってくれないのは犬の方で、私は結構相手にしてもらっていないのだ。
お前の気持ちがわからない。
おいでよ。
無視。
私がベッドで横になると、起きてきて無理矢理私の背中のほんの少しだけ空いている隙間にギューっと入ってきた。
狭い。
「退いて!」といくら言っても、今度はそこから動こうとせず、顔をクッションの間に埋めて今度は明らかに拗ね態勢に入っているのだった。
いくら押してもそのまま拗ねポーズ。
「オレが一体何をしたのよ」
「言わなきゃわかんないよ」
「なぁ・・・」
「オレ、お前のことがもうわかんないよ」
「一体何考えてんのかさっぱりわからん」
ダンボは彼女、私はオレ。
時々私は彼氏になる。
「なぁ・・・もう機嫌直してくれ」
ダンボは時々重たい。
だって大事にしているってば。
何で伝わらないのかい。
「彼女」ってつくづくわからない生き物なのである。