生田のidehofさん宅にて、ハコイヌのTD。
ここ数年はだいたい12時までにはレコーディングが終わるようになっていたが、昔は朝までよく作業をしたものだった。他のアーティストを兼任するディレクターさんは、レコーディングを並行で抱えていたりして、次の日の昼までやってそのまままた別の現場に行ったりしていたし、レコーディングスタジオのエンジニアさんやアシスタントの方は50時間近くずっと仕事をしている状態の時もあったのだ。
レコーディング明けの朝は、いつもグレー色の空をしていて、太陽が照らしているわけでもないのに、ヤケにまぶしく感じた。
今日は久しぶりに朝までの作業となった。idehofさんが丁寧に音作りをしてくれて、細かい作業までしてもらったのと、明日のMAと言って最後の音作業が10時からあるので、もう明日には作業を回せないからだ。
今年は年明けからずっと、日々ハコイヌの作業をしていた。2月になったら一段落着きそうだなと思っていたら、それが「2月の中旬になったら・・・」に変わり、2月の中旬になったら、やることが減るばかりか予定が一つもこぼせない状況になっていた。
映像に音楽をつける作業は、音楽作業以外にも途中の手順にかかる時間が思ったよりある。だが何度も頭がてんぱったものの、新しく覚えた方法が身についたので結果いい勉強にもなった。
全部作業が終わると4時半になっていた。idehofさんの目は12時を回った頃から真っ赤に充血をしていた。ただでさえ神経を使う作業なのに、最後まで丁寧に音を作ってもらえそれが何よりの力となった。
夜明け前の世田谷通りは、車がポツリポツリとしか走っていない。
「寝たら起きられるかな」
帰り道にY氏とこんな会話をするのも、久しぶりだ。
インディジョーンズが探しに行った財宝より貴重な宝が、今私の鞄の中にある。
idehofさんから受け取ったデータに、それぐらいの重みを感じたのであった。