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投稿日:2009年03月23日

2009年03月23日

「春色の汽車に乗〜って、海に連れて行ってよ〜」
聖子ちゃんの名曲「赤いスイトピー」は、私の乙女心をくすぐる胸キュン曲だった。
<私にもいつかこんな恋愛が待っているんだわ。>
そう信じまだ見ぬ彼氏とのデートを、私はこの歌の中でしていたのだ。
「春色の汽車」は何故か京都の四条大宮と嵐山間を走る嵐電のこと、「海に連れて行ってよ」の海は、嵐電では行けないのだが、歌詞に出て来る「駅のベンチで二人」の駅がやはり嵐電の嵯峨駅のイメージがぴったりだった。
コトコトと走る電車。
歌と同じく線路の脇にスイトピーが咲いていそうな景色の嵐電。
その年の春、私は京都の大学生になる予定だった。
私、もうすぐ彼氏が出来るんだわ!
何の根拠もないが、かなり明確に歌の中の景色が脳裏にはあり、「タバコの匂いのシャツにそっと寄り添うから〜」のシャツの柄は青いチェックで素材はネル、という細かい設定までクッキリあった。
だが、今になって思うのだ。
あの時、あんなにハッキリと彼氏とのデートをイメージ出来たのに、私は肝心の彼氏の「顔」だけが浮かんでいなかった。日差しの柔らかさの加減や、彼氏のしている時計が「SEIKO」のアナログという小物まで決まっていたというのに・・・・。
あれから時は流れ、未だに私は赤いスイトピーを聴くと同じ景色を思い浮かべている。
彼氏の顔だけが浮かばないというのが、何とも寂しい予感なのであった。