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投稿日:2009年06月09日

2009年06月09日

母の命日。
母が亡くなった頃というのは、私も生きる力がかなり弱っていた頃だった。食事も鼻からの栄養だけで全くの寝たきり、しょっちゅう器械が「ピー」と鳴りそうすると看護師さんが来て「頑張って息をして下さい」と言うのだが、頑張って息をして「ピー」と鳴っていたので毎日が、ただただしんどかった。
夕方に「北の国から」の再放送をやっていたのをボーっと観ていた丁度その頃に母は病院で息を引き取った。
知らされたのはその日の夜だったんじゃないだろうか。
私には母の死を悲しむ感情がなかった。一回一回息をするのがとても大変で、起きている間じゅう頑張って息をしていないといけないのにもう疲れていたので、母が寂しがって私を連れに来るような気がして恐ろしかった。
「お母さん、私をまだ連れて行かないで」
あの頃は何度もそうお願いをした。
もうじゅうぶん疲れて、全てをやめてしまいたいと思っていたのに、どうしてそんな状況の中でも「まだ生きていたい」と強く思ったのか、理由は自分でもわからない。
でも、今は信じられないぐらい元気になった。
当時の私を知っている叔母は、私はもう死ぬのだと思っていたと言うのだから、今の私は劇的な回復を遂げたと言ってもいい。
毎朝、母や亡くなった身内、チビちゃんとゴンちゃんに手を合わせて少しだけ話をする。その時に過去がよぎり、今をすごく有り難いなぁと感じる。毎日、なるべく笑って過ごせるように。その為の方法を考えるのが一日の舵取りになるのだと思う。
時々、母は私の夢に出て来る。
夢の中の私は一度も母がそこに居ることを不思議に思わない。
母の好きだった「バラ」を庭で切って一輪差した。
「お母さんにそっくりね」
よく言われるようになった。
母は病気がちだったが、父に大事にされて幸せな一生だったと思う。
それを思い出せば、自分も幸せになれる。
命日なのに、寂しくない。
今はまるで母の誕生日が増えた、そんな感覚になっている。