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投稿日:2010年01月28日

2010年01月28日

浅草KRAWOODでライブ。
いつも何人かのアーティストの方とのイベント形式でライブに出演させてもらっているが、今日は特別な想いのある友人である黒川あっちゃんと一緒だ。
あっちゃんとは京都の女子大生の時に知り合った。京都には拾得という蔵を改造した老舗のライブハウスがあり、ここで私達はとてもお世話になったのだ。当時あっちゃんはポップスのレディスバンドを組んでいて、そこでキーボードを弾いていた。私も学生バンドを組んでいてそこでキーボードを弾いていたのだが、やっていた音楽のジャンルが似ていたことから、よくこの2つは対バンでライブをしたものだった。
それから曲を書いていたあっちゃんがそのバンドでボーカルをとるようになり、それから一年程経って今度は私も別のバンドを作ってそこでボーカルをとるようになった。あっちゃんの組んでいたバンドが「シイガルズ」で私のバンドが「B#」、2つは京都のライブハウスでその後もよく対バンをし、後に一緒の事務所でそれぞれCDデビューをしたのだった。
とにかく2バンドで、京都府内あちこちのイベントによく一緒に出た。
その頃の京都は「ポップス」を正面を切ってやっているグループは少なかった。ポップスをやるにしてもブルースやファンク、ジャズなど何かしらの要素を加えて、少し音楽的な玄人っぽさを打ち出さないと、ミュージシャンの間では「あれは音楽ではない」と言われるような風潮があったし、やっているジャンルで音楽の優劣みたいなものがつけられることは実際にあった。初期の頃の私の書く曲のコード進行が複雑なのはそこら辺に対する意識が十分あった。「ポップスをやって何が悪い」という私なりの抵抗で、今は若かったなぁと思えるが、そんな中、当時も何の背伸びもせずに「ポップス」をやり続けていたのがシイガルズだった。
上質なメロディにシンプルなコード。
しかしデビューして数年後シイガルズは解散し、あっちゃんは体調を崩して一時音楽を表立ってすることはなくなっていたのだった。
今日は15年ぶりにあっちゃんがライブに帰って来た。
自分も一時、音楽から離れていた。
またこうして会えたんだなぁ・・・。
人はきっと一生をかけて何か一つのことを、続けて行くのだと思う。もっとわかりやすく言えば、何か一つ、ずっと自分自身に悩みを与え続けるものを持って一生を送るのではないかと思う。あっちゃんと私は多分、同じ課題を持っている仲間だ。
「音楽を続ける」ということをテーマに与えられ、その課題でもって悩んだり、苦しんだり、喜びを得たり、人と何かを共有しあえたり、毎回答えを出し、先に進んで行く人生。
お互い、女子大生同士だった頃は若くてピチピチだったよね。
リハーサルで、あっちゃんの声を聴くとそれだけで胸が詰まりそうになった。出番が来て控え室で待っている時にも、涙が出そうになった。
今、大事にしているものが同じ気がしたからだ。
あっちゃん、おかえり。
音楽を続ける人生を送っている。
時々なんだけど。
昔書いた曲を今歌った時に、周りの景色が前よりもっと見える時があるよ。
長い間続けていたら、たまにそういうことに出会う。
みんな、誰も、今まで歩いてきた道に無駄はない。
決して遠回りの人生を歩いてはいないんだと思えた一日だった。