先月の終わりにパスモカードを購入して、だいぶ私もパスモ利用者として馴染んできたのだ。
初日は切符と同じようにして改札機の中に入れてしまって「ピンポーン」と塞がれた。改札機を止める人間は後ろから来る人にとっての「悪」。
あの日は、駅員さんも冷たかった。
「すみませーん・・・」
「はぁ」
「パスモカードを間違えて中に入れてしまいました」
「はぁっ!?」
改札機を開けてウンショウンショと、カードを引っ張って出してくれたが、無言のまま。その顔はあきらかに怒っていた。「田舎者めが」という、心の声がしていたのだ。
”はい、すみません。田舎者でございます”
改札機をストップさせ、顔を赤くして突っ立っていたのが、今は”タッチ!”で改札を通り抜ける。ちょっとまだその手つきはたどたどしいが、”タッチ!”で通った時に、自分が急成長をしたような気分になるのだ。
パスモカードで改札機を通り、あなたも都会人の仲間入り。
昔、大阪在住だった頃にソニーの黒ビルで打ち合わせをしたのが、ちょうど今ぐらいの季節であった。社内の会話が標準語もしくは東京弁のいずれかだったのがものすごく賢い人たちに思えて、ただただ小さくなっていたことを思い出す。帰りに一人フラフラっと占いに行って、「私は都会で仕事をこれからすることになったのですが、どうしたらよいのでしょうか」と、わけのわからない質問をして占ってもらったことがあった。
”あなたはあなたのままでいなさい。”
タロットカードをめくりながら先生は答えてくれたのだ。
あれからどれ程月日は流れたろう。
田舎者気質、未だに抜けず。
「あなたはあなたのままで・・・」の教えを胸に、大都会トーキョーで今日も張り切る私なのであった。