クロマチックハープの録音で佐野聡さんに吹きに来てもらった。
去年の末にイベントでご一緒させてもらった時に、佐野さんのハーモニカの演奏に感動をして、それで是非とお願いをして引き受けて頂いたのだ。
クロマチックハープは、スティービーワンダーの演奏に感動をして随分前に楽器屋さんに行って買ったので、家にはあるのだ。だが、すぐにあきらめてお道具箱の中に仕舞ってしまった。数年前にその箱を開けた時にはハーモニカのこともすっかり忘れてサングラスのケースだと思っていたぐらいだった。
私は吹く楽器は下手なのだ。たて笛も「ぱひー」と音が裏返るし、クラリネットは3ヶ月やってもまともに音が出なかった。ブルースハープは息を吸って吐くだけしか出来なかったので「ぱふぱふ」言うだけだったし、クロマチックハープは「吹きものが下手」という意識のもとで始めたのであきらめるのも早かった。
佐野さんは逆にトロンボーン奏者でありながらフルート、ハーモニカも演奏をされる。それぞれ別の演奏方法で演る全く勝手の違う楽器なので、それらをマスターするのは至難の技、大人になって何ヶ国語が話せるようになるのと同じ労力が要るので、佐野さんは「吹き楽器」のバイリンガルと呼んでいいだろう。
シンセサイザーは便利な楽器だが、本当の楽器の音にはやはりあたたかみというか立体感が出て、人が直接音を出すということだけでもこんなに音が変わるのかと思うのだ。
最初からいい演奏をしてもらったので、今日は予定の時間を大幅に短縮して、あっという間に録りは終わった。
とても素晴らしいミュージシャンに出会えたことに、また一つ感謝をした日だった。