つるバラがお好きなあるご婦人の影響を受けて、私もついにつるバラを育てる決心をしたのだ。
”つる物”は、いずれ引っ越すであろう賃貸物件ではやらないと決めていたのだが、つるバラの美しさを度々ご婦人から聞いているうちに、だんだん心は惹かれて行ったのだ。
最近の私は、だんだん寂聴さん寄りになって来ていて、結婚や恋愛への興味が薄れて来ている。かわりに花や動物が更に大好きになり、いかに花や動物達と楽しく暮らしていくかが自分のテーマになりつつあって、今はつるバラに心を奪われている真っ最中なのであった。
つるバラに囲われていた西荻のお花屋さんのように、ウチもつるバラで壁を覆いたい。バラに囲われた壁って本当に素敵なのだ。
で、早くも私の頭の中にはつるバラが自分の家の壁に咲き乱れている。日に何度も家の前に出ては壁を眺めているのだが、実際にはバラなんてどこにも咲いていない。私が微笑んで見ているのはただの壁でしかなく、気持ち悪いヒトになっているに違いない。
つるバラって、咲き乱れるまでには時間がかかるのだ。自分が頭の中に描いているバラ図は、実際に見られるのは来年の春のことで、今年はどう考えても「そう言えばちょこっとバラが咲いていますね」程度の分量にしかならないのである。
しかし想いは強く、既に”見えないものが見える”状態となっている私。だったら実際に咲かせなくても想像の上で楽しめばいいじゃないか、とも思う。
バラは虫がつきやすい花。
バラ屋敷になる前に虫屋敷になって、そこでヤル気を失せてしまった自分の姿も早々に思い浮かぶのであった。