にゃぁ〜。
小さな声が聞こえてきて窓の外を見たら、近所のねこちゃんが遊びに来ていた。
私の家はこの辺りに住むねこちゃんたちに人気がない方で、唯一牛柄のおかあさん猫がたまにおねだりに来るぐらいだったのだが、この数日めずらしく新しい黒猫が
やって来るようになった。
お前はこのあいだ生まれた中の一匹だろう?
近所の牛柄の兄妹の間に子供が生まれて、その子供がまた今年子猫を生んだので、このあたりは牛柄もしくは黒色のねこの数がものすごく増えたのだ。この辺で彼らは猫同士の縄張り争い以外には危険なこともないので、一日じゅう好きにして過ごしているのだが、私の家にはダンボが居る。このダンボが「ねこ」の声を聞いたり姿を見た時には猛烈に吠え狂うので、ねこちゃんにとって人気のない家となってしまったのだった。
まぁ、いいけどね。
決して嫌いなわけではないのだが、どうもねこに縁がない。
だがそんな我が家にもかかわらず、一匹だけその黒いのは遊びに来る。
外でニャーと鳴いて、あきらかに私を呼んでいたりするので、やっぱりちょっと可愛い。
しかし。
ダンボはそれが許せないのである。自分よりうんと小さい赤ちゃんなのだから、ちょっとぐらい優しくしてやってもよさそうなのだが、前に一緒に暮らしていたイタチでさえダンボは頭を叩いたりしていじわるをしていたので、相手が子猫であっても「マジ怒り」全開なのでほんとうにしょうがない。
黒ねこちゃんも、そのうちまた寄り付かなくなるだろう。
わんことにゃんこが同居する家は我が家にはあり得ない。
私がねこにミルクをあげる時、ダンボに気づかれないようにすごく気を使いながらこそこそと行動をしている。
浮気でもなんでもないんだよ。
本当に何でもないんだよ。
こねこちゃんが「バー」のお姉ちゃんに思えてきた。
うまく説明出来ないが、見つかったらダンボの機嫌が悪くなるので、こねこちゃんとの関係は少しだけ秘密の関係なのである。