東側の部屋の窓のすぐの所には塀があって、ここは近所の猫の通り道になっている。私に気付かずに通り過ぎて行く猫、チラっと部屋の中を見て行く猫、犬が居ることを知ってわざわざダンボの姿を見に戻って来た好奇心旺盛な猫も居たが、今日はたまに家の中に上がって来る人懷っこい近所の猫ちゃんが通り掛かった。
猫ちゃんはいつも玄関の方で会うので、この塀のそばの部屋が私の部屋であることを多分知らない。
塀の上でふと部屋の中の私と目が合うと、「あれ?」と言った顔で立ち止まったのだった。
”ここが、ウチなん?”
塀から既に窓の所に半分体を移して、この猫は本当に人懷っこい。
”こっち側の部屋にも入りたい”
明らかに顔が訴えているので、仕方なくダンボを別の部屋に入れて窓を開けることにしたら・・・
”よっこらしょっと”
猫ちゃんは塀から飛び移って早速部屋に入ってきた。
”ふぅう〜〜ん。こっちはこんな風になっていたのか”
猫も他人の家には興味があるらしい。まるで人間のお宅訪問のようにキョロキョロと部屋を見回して、ちょっとめずらしそうな様子だった。
猫ちゃんの家は年を取ったおじいさんと、それから30代ぐらいの息子さんとの二人暮らし。私の部屋は男の人の部屋とはテイストが結構違っているので、猫にとっては新鮮だったかもしれない。
”んじゃ、また”
しばらく探検して猫はまた部屋を出て行った。
猫の不思議は助走もつけずにヒョイと高い場所に上がってしまえる所だ。
行ってらっしゃい。
あまり遠くへ行っちゃだめだよ。
いろんな所が彼等には道になるんだなぁ。
カンロ飴みたいな目で楽しい探検を探す。歩いて走って跳んで、心のままに前に進んでそうして家に辿り着く。昨日を振り返らない生き物なのである。