タリランランラン、ララランランラン~♪
寒い季節になってくると灯油の移動販売車の音楽がどこからともなく聞こえて来る。
この近辺は「イッツ・ア・スモール・ワールド」の車と「北風小僧のかんたろう」の2台が巡回しているようで、近くのお家でも頼んでいるところがあるらしい。配達の車が音楽を流しながら止まっているのを見たことがある。ウチはもう灯油を使わなくなったのでお世話になっていないが、石油ファンヒーターを使っていた時にはやっぱりこうした巡回の配達車から灯油を買っていた。
私が子供の頃は、お米やジュースも配達してもらっていたのだ。台所の裏にはガラス瓶のジュースケースとビールケースがあって、それは私の世代にとって懐かしい景色の一つだ。当時はお米屋さんが配達をしてくれるのがあたりまえのことだと思っていたから、まさかそれから後にスーパーでこれらの品物を買うなんてことに変わって行くとは予想もしなかった。
灯油を使用する家が少しずつ減っていけば、冬の巡回車もなくなって行くのかもしれない。
別に自分の家で買うことはなくても、あの音楽が聞こえて来ると「あぁ、そういえばもう冬なんだなぁ」という風に部屋の中で思っていた。親しみを覚えていたのでなくなったらやっぱり寂しくなると思う。
<買えないけれど応援している>というのは、本当は応援していることにはならないかもしれない。
だが、私みたいな気持ちであの音楽を耳にしている人は居ると思うのだ。
配達の車の人には伝わらないだろうけれど。
そして自分にもきっとそういう存在の人が居るんだろうなぁと思ったりもした。
そして
それはみんなに言えることなんだと思う。
お仕事ごくろうさま。
耳を澄ませば聞こえてくるかもしれない。
小さなエールを、人は送り、送り合い、沢山の想いを自分もきっと受け取っているのだ。