5月から週に一度、ゲルマニウム温浴に通っている。シャンプー台のような専用のお湯の張った温浴器に両腕と両足を入れて、20分そのままジっとするだけの健康法で、運動で体を鍛えることがほとんど出来ない私には、今のところ効果的な健康法なのだ。
ゲルマニウム温浴のいいと言われている点は、有機ゲルマニウムが入ったお湯に腕や足を浸けることにより、ゲルマニウムが皮膚呼吸をして体内に入って来て、それが体の中にある老廃物や毒素を汗やおしっこと一緒に連れ出してくれるらしく、それで結果血がきれいになったり新陳代謝がよくなったりして、体を弱アルカリ性の体質にしてくれる、ということなのだそうだ。
体の中のやり取りは私には見えないのだが、確かに少し「いいような気がする」ので、今のところ週に一度を目安に近くの店に温浴に行っているのだった。
行き始めの頃、浸かっている間の20分はボーっとしていたが、最近効能などのことを書いたチラシが温浴器の前の壁に張られるようになった。
ふむふむ。
数々の病気を治した奇跡の泉と呼ばれている、ヨーロッパの有名な「ルルドの泉」の水の成分に有機ゲルマニウムが大量に含まれていたらしい。
ほ〜〜〜ぉ。
ゲルマニウムが「さるのこしかけ」から沢山採れるのだという豆知識。
へぇー。
だいたいこれに対してはこのぐらいの回数を受けると効果がありますよという目安には・・・・
肥満は15回程。
疲労には1〜2回。
不眠や婦人病にも効果があると書いてあった。
現代人の体は、ストレスや食生活、不規則な生活のしわよせで酸性に傾いている人が増えているのだが、この体内バランスを整えることが大事だということが書いてある。
そうなんだ・・。
納得しながら読み進むと、
「温浴することにより、ゲルマニウムが体内に・・・酸素不足の体には有効に働きます。又、野口英雄いわく病気の根源は酸素不足だといわれております。」
ん?
最後の文に引っ掛かった。
「いわく・・いわれております」の文章に違和感があったのが最初だったが、もっと根本的に違和感のある箇所があったのだ。
野口英雄って・・・誰。
”英雄”って・・・。
ダレ。
英世の誤字なのか、類似騙しものシリーズなのか、店の人に聞けなかった。
最近は店の人に「効果はいかがですか」と尋ねられるのだが、「はい、いい感じです」と答えると、「へぇ、そうなんですか〜。」という返事をもらっていた。
まさか”ただのお湯なのになぁ”ということではないだろうな。
そもそもあのお湯には、本物のゲルマニウムが入っているのか・・・・。透明なお湯を見つめていても、正直言って見分けはつかないのである。
騙すならとことん騙しておくれ。
じゃないと、自分にガックリきちゃうから。
自分では警戒心が強いと思って来たが、私はもしかしたら信じやすい人間なんだろうか。
うー。
帰り道、ちょっぴり暗雲が立ち込めた頭の中なのであった。