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投稿日:2010年06月08日

2010年06月08日

ダンボと散歩から帰って来て家の前に居たら、斜め前の家のおじさんが自転車で帰って来た。
「おいっ。元気かっ」
おじさんはダンボを見かけるといつもダンボに声を掛けてくれる。引っ越して来た時は無愛想な感じの人だったが、後に単に照れ屋だったということがわかって、今はおじさんともよく話をする。
おじさんは、時々うちに遊びに来る猫のキエちゃんの家のおじさんだ。
「おいっ、シロ!」
キエちゃんの姿を見つけるとおじさんはキエちゃんに声を掛けていた。
<今・・・シロって言わなかった?>
まだキエちゃんが子猫だった頃、ここの家の息子さんに名前を尋ねたら「キエ」と教えてくれたのだ。めずらしい名前だったので、もう一度聞き直してみたが「キエ」だったと思う。だが、キエちゃんは私が「キエちゃん」と呼んでも返事をしない。もしかして「キエ」という名前じゃないのかもしれないと思ったりもしていたのだったが・・・・。
「あの子は名前は何っていうんですか?」
おじさんに尋ねたら「シロだよ」と言っていた。そしてもう一匹がクロ。シロは最近赤ちゃんを産んで、今家の中は子猫達とシロとクロでものすごくにぎやかなのだそうだ。
「おいっ、ジャンボ!」
この辺でダンボは「ジャンボ」と名前を間違えて覚えられてしまった。近所のKさんが間違えて覚えたのがきっかけで、ダンボは「ジャンボ」だという風に伝わったらしい。ジャンボでもダンボでもたいして違わないし、いいかと思っていたが、今日はおじさんに尋ねられたのだった。
「なんで、ジャンボはジャンボなの」
「どこがジャンボなんだい?」
こんな質問をされたら私もいよいよ、ジャンボではなく「ダンボ」の名前の由来を話さなくちゃならないのだ。
「あーそう!お前、ダンボだったのか」
そういえば、私はおじさんの名字も知らない。おじさんも私の名前を知らないだろう。
最近、日がすっかり長くなった。
「じゃぁ、ダンボまたな」
照れ屋のおじさんが好きだ。
どこかの家から魚を焼く匂いが漂う夕暮れだった。