夜、割と大きな通りから家に帰る小道に行こうとした時のこと。
すぐ前に数人のやんちゃそうな若い男性達が歩いていた。
この小道が家まで一番近いのだが、ちょっと考えた。
こういう時、彼らの後ろを歩く方が安全なのか、それとも彼らとは違う道に回った方がいいのか。この小道はこの先、ちょっと暗い道になる。かつあげをされたら間違いなく逃げられない。この辺りの住人でないのに、こんな時間にどうしてここを歩いているんだろうということからも、彼らの存在が自分にとって少し心配になったのだった。
どうしよう。
いつもこの道を歩く時は、後ろを振り返りながら急ぎ足で通るのだ。たまに女性や犬の散歩の人が一緒だとホっとする道。あまり遅くなったらこの道は通らず、タクシーを利用するのだが今日は時間的に微妙な感じで、そんな時にこういう状況になったのだった。
どうしよう。
いずれにしても家に帰る道は最後に細くて暗い道が待っている。
やっぱりその中でもこの道が一番明るい通りか。
それにこんな護衛がいればこんなに安心なことはない。それで結局少し距離を保って、彼らの後ろを歩くことにしたのだった。
明かりが暗いところを過ぎて、分かれ道になっているところが見えた。たいていは一緒になる人はその道を真っすぐ進み、私一人が左に曲がる。この角は昼は緑道へ行く人が通るが夜遅い時間には数軒の住人しか曲がらない角だ。
彼らはその分岐のところをゆっくり左に曲がった。
<怪しい>
警戒をしたその時、
前を歩く3人の男達のうちの一人が今度は振り返った。
怖かった。こっちに来たらどうやって逃げたらいいんだろう。今からでも引き返そうか。
でも
私もあと少しで家だわ。
この動揺をまずは悟られないようにしなくっちゃ。
ドキドキしながら歩いていたら、またもや前を行く男達が振り返った。
怖い!
と思ったが、二度目は何故かしら怖くなかった。
どうしてかしら。
うーーーーーーむ。
<え?>
もしかして?
私が不気味がられているの?
むむむむむー。
<変な女がさっきからついて来るんだよ>
前で彼らはそんな話をしていたのだろうか。
<おい、あの女まだついてくるぞ>
<ちょっと待ってよ!私はここの住人なの>
<キモい女だな。早く行こうぜ>
家の近くの角を曲がる時、ようやく理解した。
自分が「かよわい女性枠」から外れたんだなとわかると複雑な気分であった。