1970年の今日、杉並区のある中学、高校の生徒が体育の授業中に具合いが悪くなって病院に運ばれた。それが光化学スモッグによるものとされ、日本初の光化学スモッグ発生ということで、今日は光化学スモッグの日なのだそうだ。
私が子供の頃はよく光化学スモッグ注意報が発令されていた。夏休みのプール開放は校舎の上に立っている旗の色が確か黄色だったり、赤だったりしたら、その日は光化学スモッグ注意報が発令されていてプールは中止になったという印だった。
校舎の旗が見える位置までは、家からある程度の距離を行かないと見えなかったので、途中まで行ってガッカリして戻ってきたことがあったっけ。
でもいつの間にか「光化学スモッグ」という言葉を聞かなくなっていった。
もうすっかり忘れていたというのに。
最近になってまたよくこの光化学スモッグ注意報の発令を耳にするようになったのだ。家に居るとどこかから「杉並区からのお知らせです。」という声が小さく聞こえてくる。光化学スモッグ注意報が発令されましたという内容のものが多く、散歩に出る頃にまたどこかから「杉並区からのお知らせです」で始まるアナウンスが聞こえてくる。丁度6時を過ぎるあたりになると注意報が解除されるようで、特に工場地帯でもない杉並区に頻繁に発令されているのがちょっと不思議な感じがする。
日中に目がシバシバするのは、まぶしいからということだけじゃなかったのかもしれない。光化学スモッグの影響もあるのかもしれない。
毒が目に見える姿を持つとしたら、恐らく人々は外を歩けなくなる。だから有害なものは目に見えないようにしてあるのかもしれない。
光化学スモッグが過去のものとしての記念日になる日は来るのだろうか。
見えない傲慢が見えない毒を作る。
この世の中は見えないもののほうが多く存在しているのではないかと思うのだ。