本日、ちょっと遅い新年会。
パブリディでお世話になった編集長のM氏とP社編集者の奥様、山口晶くんとY氏の5人で、場所は新宿の韓国料理店が集合場所だった。
中野坂上で、Y氏と私は待ち合わせをしてタクシーで行くことになったのだが、Y氏が「次を右に曲がって下さい」「で、次を左に」と運転手さんに伝えてナビをし、「ここで結構です」と車から降りると、なんとそこは新宿ラブホテル街のド真ん中だった。
<違いますよ>
の、オーラをタクシーの運ちゃんにプンプン送って降りたが、まぁ見渡す限りラブホテルばかり。新宿は私は伊勢丹、高島屋エリアにしか行かないので、この辺に来るのは初めてなのだ。タクシーを降りた所で偶然晶くんの姿を見つけたので、「お〜い!」と呼んだ。
キラキラピカピカして楽しそうだが、さすがにケーキ屋に駆け寄って行く無邪気さは消える。下ネタH系のギャグは私は持ち合わせがないのである。
「なんか、すごいね〜」と言ったりして場を繋ぐ自分が居る。
なんとなく、自意識過剰になる。
<早く店に着いてくれー>
ラブホテル街で思い出すことがある。
20歳ぐらいの頃だ。
実家の高槻から割と近い名神高速茨木インターの辺りが、ラブホテル密集地帯なのだが、これが国道171号線から少しそれた所にあるのだ。ここで右折やら左折をして入る車というのは、ほぼ「クロ」。”ラブホテルに消えていく二人がどんな二人なのか、見てみたい”と、後ろに並んだ車が「ふふん」と目をやるので、その時に若干スピードを緩めるのが171号線の自然渋滞に影響を及ぼしていたりするのだ。
私は当時千里という北摂の辺りで習い事に通っていて、その日はどういうわけか、父しげおっちが私を送ってくれると言うのだった。そりゃ電車とバスを乗り継いでいくよりうんと楽だわと思って「じゃ、送って」と言って車に乗せてもらったのだったが・・・。
父はこの日、何故かたいして道が混んでいるわけでもないのに「ワシ、ええ裏道知っとんねん」と言って171号線とは違う道を走るのであった。
<なんで?!>
大きな道が混んでいない時は、裏道よりも本道を走った方が早い。だが文句を言えば、逆にそれが火種となって説教をされることになる。
<ここは黙っていよう>
時間に間に合えばそれでよし。
黙っていたのだった。
しかし、車は171号線に一向に出る様子もなく、そして茨木インターラブホテル街が見えて来ると、私が父親だったらその道は近くても避けるだろうに、父はここで更に「ええ裏道、知っとんねん」と言ってラブホテル街に突っ込んで行ったのだった。
ホテルの車入り口のビラビラが見え、「IN」の矢印が見え、昼間なのにチカチカと→が誘い・・・。
ホテルの敷地内も通るのかと思う位であった。
171号線に車が合流する時、私はうつ向いていた。
そうしてしげおっちと私は、信号待ちをしていた車から、”昼間っからお盛んですな”の好奇の目に晒されながら、親子程年の離れたエロカップルとして、ラブホテルしかないその小道から出て行ったのであった。
<お父さん、どういうつもり!?>
父の無神経さにあきれていた。何より、裏道を使っても時間短縮になってはいなかった。
今日も短時間だったが、ラブホテル街道は妙に緊張をしたのだ。
よく知る人とそういうエリアを歩くのは、どうも具合が悪い。まぁ親と一緒に車で通過するというのもまた妙だが・・・・。しかし、じゃあ知らない人とならしっくり来るのか。いいや。緊張以前に、まずこのような場所には来ないであろう。
お店に着くとホッとしていた。
「かんぱーい」
心の中で「私はシロ!」と叫んでいたのであった。