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投稿日:2007年03月02日

2007年03月02日

昨日、帰りの駅前でボロニアを花屋さんで見つけた。
ボロニアは春の花。切り花としてではなく、鉢植えで置いてあって、春は他にもたくさんの華やかな花があるので、店頭では一番には目につかないとは思うが、この花も部屋の中に幸せをくれる花として、私は大好きなのだ。
ボロニアは甘いいい香りがする。
他に似た匂いがない。
ボロニアだけが持つ匂い。
同じボロニアでも種類があって、香りがするのは釣りがね状、花の房がスズランみたいに下向きに咲いているものだけが、その甘い香りを持っている。
去年、花屋のおじさんが「これはね、いい香りがするから」と星型の花のボロニアを勧めるので、<いや、これは匂いがしないはずなんだけどなぁ>と思いつつ、花屋さんの言うことだからと信じて買って帰ったが、花期が終わるまでとうとう香りを放つことはなかった。
匂いがするのは、スズランの形のタイプだけ。
病院のお見舞いには、鉢植えは「病気が根付く」から縁起が悪いとされ、また香りの強いユリなどの花も控えるようにと配慮がされるが、私は香りのいい花は病院でも安らいだ。花の香りは、病室特有の匂いからふと柔らかい空気に変えてくれたものだった。
ボロニアの香りは一年に一度のこの時期だけ。
優しい香りがするからと、去年ある人にあげようと花屋さんに入ったら、その時は時期が過ぎてしまっていた。
「また、会えたね」
昨日は荷物が多かったから買うのをあきらめた。だが、その時点で多かった荷物は一つ減っていたのだ。
なのに、私は花屋さんで呑気に花の匂いを嗅いでいたとは。
結局、昨日落とした買ったばかりの服は、今日も落とし物センターに電話をしたが、届けはなかった。
ボロニアと出会って、
買ったばかりの服とさようならをした。
そうね。
春だもの。
春は出会いと別れの季節なのである。