桜が満開になっていた。今週のはじめに三分咲きぐらいになっているのを見つけて、少し前にはそんな様子もなかったので驚いたのだったが、一気にあれから桜は咲いた。
今日は天気が悪くなると聞いていたので、花見客の出足はどうだろう。そう思っていたが、日中は晴れ間がさしたり夕方以降はポツポツと降ったりもしたが、意外にも天気は守った。
五日市街道に出ると、遠くに桜が咲いていた。ここに来て初めての春、この桜の景色は初めて見る。ピンクとこげ茶の配色って落ち着いていていいなと思う。桜の木独特の色のカップリングだ。
桜が咲いた。
外に出れば出会える。
出なければ出会えない。
桜だから、忙しい大人たちもみんな時間を作って会いに行く。
大事な人のことも桜のように想って、たまに時間を作ってあげたらいいのに。
そうしたら、その手が離れてしまわずに済んだのに。
桜の花を散らすのは雨。
だが大事なその手を離させるのは、他の何者でもない。一番愛した人だ。
言葉を惜しんじゃいけない。
時間を惜しんじゃいけない。
3月最後の日。
春だった。
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2007年03月30日
昨日乗った電車の中で、丁度向かい側に座った女性がお化粧をしていた。
車内での化粧はエチケットがなっていないと言われているが、私はそのエチケットがなっていないまさにそのタイプ、すっぴんで家を出て途中でメイク完成をするということが時々あるので、人が化粧をしていても気にならない方なのだ。
いや、やはり気になる。
逆に気になる。
他人が化粧をする所になんて居合わせる機会がないので、人がすっぴんからどうやって変貌を遂げるのかを見れるチャンスとして、私は車内化粧女子を見つけたら観察をしているのである。
昨日の女性は、寝坊をしたかなにかで、やはり「化粧は電車で!」だったのだろう。私が彼女に気付いた時にはもう既にコンパクトを開け、自分の世界にすっかり入っているところだった。
しかし女というのは、こんなに怖い顔をして化粧をするものなのか。
鏡を睨みつけるようにして、「美」に向かって右手をシャカシャカと動かし、眉のラインを入れながらも鋭い視線を鏡の中の自分に投げかけている。眉が完成すると、この女性は目元メイクに入ったのだが、ここの時間の使い方は私とは全然違っていた。
アイシャドーは1分位あれば、上瞼も下瞼も私は終わりにしているのだが、この人は2駅か3駅の時間を使って繰り返し同じ個所を何度も上塗りをしている。
<そこはもういいんじゃない?>
<あんまりやったらお肌荒れない?>
グリグリ、グリグリ。
アイラインを引いた上から更にまたアイシャドウを塗っている。アイシャドウをこんなに塗る方式は初めて見たのだ。
結局彼女のメイクが完成する前に私は電車を下りたので、完成図は見られなかったが、確かに目元は印象は変わっていたのだ。
彼女はどこに行く途中だったのか。
割とお洒落な女性だった。
彼氏の前では「イヤン、すっぴんは見られたくないの」と言っているかもしれない。
が、電車の中では人目をはばかる様子は微塵もなく、堂々と化粧タイムを公開していた。
知らない男達の前ではすっぴんになれる、なかなかの強豪女子であった。
2007年03月29日
今日は種さんと下北で待ち合わせをして、ご飯を食べに行った。
種さんとは、メールやライブを見せてもらったりというお付き合いをさせていただいているが、ゆっくり二人で会うのは初めてなのだ。
一軒目、まさかの休み。年中無休ということをしっかり調べておいて下さった種さんだったが、ご自身曰く「行ったお店が何らかの理由で入れないケースが、何故か頻繁にある」のだそうだ。あははと笑っていたが、前に5軒入れなかったということを聞いて、ちょっとビビったのだ。
二軒目、和食の店はやっていた。ランチを食べつつ、そこでは一番最近のレコーディングの話や音楽の話をする。種さんは果敢に物作りにトライをし続けている人なので、そこの部分でも大変尊敬をしている。ホームレコーディングもとても早い時期に始められていたし、当時の作品の中ジャケットの写真なんかはよく「何が写っているのか」と、ジィ〜っと見ていたのだ。
もう一軒、そのあとで一緒にお茶をした。
「オリーブの小さいこれぐらいのを最近見つけたんですよ!」
「そうなの?」
「やっぱり小さいヤツを大きく育てたいんですよね。」
「わかるわかる」
「長年探してて・・。でも隣りにデッカイのが売ってて」
「じゃ、それ挿し木だわ」
「やっぱ、そうですかー290円、安いと思ったんですけど」
「ホントはタダなのにね」
種さんとは突っ込んだガーデニング話が出来る。こんな会話が出来る人は同業者ではあまり居ない。遠慮なく園芸の喜びが語れるのは嬉しいのだ。今日はトウモロコシや枝豆栽培についての知識を教えてもらった。
12時に待ち合わせをして、気付けば5時半になっていた。子供が居ない私は春休みのお留守番の子供のキモチにまで、頭が回っていなかった。
いつもは練習のためだけに来る下北の街。一人で来るから笑いながら歩くなんてことはない。
若者達に紛れて駅までの道を並んで歩けば、ステージで見るより、うんと華奢で小柄な種さんだった。
2007年03月28日
携帯に電話を掛けて留守電だった時。
イコール、自分の弱点が露呈する時なのだ。
融通がきかない、切り替えが遅い。ここは自分でも直したいと思っているところなのだが、携帯の留守電と向き合った時に、この弱点をバーンと目の前に叩きつけられる感じがするのであった。
「20秒以内に・・・」の応答メッセージが流れて来ると、とてもあせる。
急に試験をされているみたいな気分になり、慌ててモードをかえて頑張るが追い付かず失格、再度20秒試験を受けに行くということが多い。
「3分以内に・・・」という応答メッセージの場合、軽いご挨拶をしているうちに本題に行くのが遅れ、またまさかの途中切れとなる。
20秒以内に収めることだけに頭が行ってしまう時もある。ただの早口言葉で「えっと、また電話します!」だけ入れてガチャンと切り、”セーフ”と胸をなでおろすが、その20秒を有効に使ったかと言えば使えていない。
だいたい電話は苦手なのだ。高校生の頃、毎日学校でさんざんしゃべった友だちと、家に帰って来て更になんであんなにしゃべることが出来たのかが思い出せない。
携帯の電波が体に悪いということが一時よく問題にされていたが、最近聞かなくなった。あれはどうなったんだろう。
留守電は私の体には悪い。
電話をして留守だった時、私の血圧はちょっと高くなっている。メッセージを入れても入れなかったとしても、電話を切ったあとはぜいぜいと息が上がっているのである。
2007年03月27日
ドラリオン日本公演に行った。
シルク・ド・ソレイユを観たのはアレグリアが最初、もう10年以上前のことになるのではないだろうか。
シルク・ド・ソレイユの名前を知ったのは、サルティンバンコ公演の時だ。当時テレビCMでさかんにやっていたが、それまで聞いたことのなかった長いカタカナの単語が、急にテレビでバンバン流れ、それに加えて「サルティンバンコ」という言葉も意味がわからない。当時の私には”ただ奇をてらったタイトル”としか映らず、派手な仮装をしている人達が出ている奇妙なショウなんだなという感じしかなかったのだった。
ものすごく大仕掛けなショウなのだが、観終わったらショウ自体に感動をするだけでなく、「人間の力ってすごい!」と思うのと同時に、自分にも出来ることがまだたくさんきっとあるんだという明るい気持ちをもらうのだ。
春休みなので、今日は子供達が多かった。演目の中には今日も軟体動物のようなグニャグニャに体の柔らかい少女の芸があって、私はその素晴らしい芸に感動をしつつも、「あんなことをして腸が捻れたりしないのかしら」「骨の仕組みはどうなっているのか」という方向に頭が行っていたが、子供達は純粋に感動のあとに憧れるんだろう。
”あのお姉ちゃんみたいになりたい!”
横に座るお母さんさえ知らない決心をした子供と、私は今日一緒にこの空気を吸ったのかもしれない。
大人達だって、過去のいろいろな場面で「決心」をした景色をそれぞれが持っている。
それは人生における永遠の景色だ。
もういくら憧れても、自分は軟体動物にはなれない。
でも私も夢がいっぱい広がってワクワクしたよ。
叶えられるように、頑張りたいね。
最近はジャンル問わずいろいろな作品が観たいと思う。あまり感動しなかったものについては、何が理由だったのかと考えるし、いろいろ観ればそこがまた面白くなってくる。
シルク・ド・ソレイユは幾つになっても夢を与えてくれる、尊敬する集団だ。
2007年03月26日
今日も譜面を書いている。
私は講師の試験でも、筆記で落ちた。受かった時も、点数は確かギリギリだったので、当てずっぽうで書いた答えが運良く正解だったという感じだったのだ。これは運転免許の試験をやはりまぐれで受かった時と同じで、今マニュアル車が運転出来ないのと同様、人に渡す譜面書きはかなり緊張をしている。
だが、自分のことは棚に上げるとして、ものすごく上手いミュージシャンの譜面を見たら、私でも「あれっ?」と思うことがあったりするのだ。
これって何て書いてあるんだろう・・・。ミミズ文字のような音符が書いてあったり、「本当にこのまま演奏していいの?」と、不安になる位コードネームがアバウトなものがあったり、構成が無茶苦茶なものもある。
あのひとが・・・・。
しかし、ガッカリするというよりも、アンバランスな一面を知った親近感が沸く。譜面の書き直しは困るが、どこか自分の中にあった緊張感が、少しほどけてくれるのだ。
また、その人その人のクセみたいなものもあって、何度かやり取りをした人だと、その人の譜面はレイアウトが似ていてパっと見ればわかるようにもなってくる。私も何度か人に「みきちゃんの譜面だとすぐわかる」と言われたことがあるので、何か他人に映る私の譜面グセというのがあるのだろう。
一つだけ統一しているのは、「イントロ」や「A」「サビ」など、ムードが変わる個所は左端に来るようにはしている。イントロが7小節の場合なら、一段目を4小節にして2段目を3小節、4小節目はバツをつけて空けておいて、次の段の頭から「A」を書き出す。そうした方が自分が間違える確率が少し低くなるので、そうしている。
9小節の時は一段目が4小節、で二段目が5小節。
4等分が一番座りがいいので、5等分になるとこれがまた不器用が出ていびつな5等分になるのだ。
あら、また失敗した。
修正液チームは、相変わらずマイペース。いい調子で出てくれる時もあるが、「今はなんだかヤル気にならないの」と、突然謎の休憩を勝手にしたりしている。
毎日書いている割には腕が上がらず。
修正液要らずの達人には、ほど遠いのであった。
2007年03月25日
雨。
3月の雨は冷たい雨。
止まないかな。
カーテンを時折り開けて外を眺める。
いいよ。
今日は一日降っていても。
灰色が家の周りを包んでいる。
桜がもうすぐ咲くから。
どうぞ今のうちに降っておいてよ。
コーヒーの湯気があたたかくのぼっては消える。
灰色は時間をゆっくり進ませる。
部屋の中で、ヒーターの音と、ペンのカリカリ言う音が広がっていた静か過ぎるぐらいの日曜日だった。
2007年03月24日
今日は舞浜の某ホテルでの結婚式に出席した。
結婚式に出席をするのは、何回目になるだろう。ブライダルのエレクトーン演奏の仕事をしていた頃もあったので、その場に参加をしたことも含めたら結構な回数になるのではないだろうか。
むかーしむかしは私も、新婦のウエディング姿を見て”そのうちにあそこに座るんだわ”と、自分が新婦の席に座っている所を思い浮かべたりしたものだ。”袖ん所はパフスリーブが可愛い”だとか、”裾はフワッと広がってるのもいいけれど、ストンとシンプルなのも迷うところ”などと、一生に一度のウエディングドレスなのだから・・・と、欲張りな心ではちきれそうだったのだ。
それが・・・。
ある頃からもうウエディングドレスを着ている自分が想像出来なくなった。もう今私があれを着れば結婚式でなく仮装大会だなと冷静に考えるようになり、あんなに欲張って頭の中でドレスのデザインにシビアになっていた自分は、今やすっかり消えてしまったのである。
いろいろと条件が複雑になり、頭でっかちになり過ぎて現在に至っているのだが、あとよく考えてみたら私は自分の新婦姿を想像したことは何度もあったのだが、隣りに座る新郎について想像したことがなかった。
それでも花嫁のブーケを取りに行っている。
そして今日も取れなかった。
だが何故だか知らないが、結婚式の時の余興のゲームはいつも強い。福引きでは当たったことがないのに、ジャンケンゲームで最後まで勝ち残ったり、賞品を当てては壇上に立って目立っているのだ。
結婚式。
花嫁姿の新婦さんを、叔母のような眼差しで眺めるようになっている。そして今日も早押しゲームで4等になり、掃除機をもらって帰った。
やった。嫁入り道具がいっこ増えたのだ。
これでいいのか。と思いながら、家で掃除機を幸せな気分で組み立てている私なのであった。
2007年03月23日
今来てもらっているヘルパーさんはとても料理が上手なのだ。同じ冷蔵庫の中にあるものでも、Yさんと私とでは冷蔵庫の中の物の見方が違う。「思いつく」レベルが違うのだ。出来上がった物を見ると、それがあきらかにわかる。
Yさんは現在の福祉関係の仕事に就く前は、新宿で昼はランチの店で洋食を、そして夜は小料理屋のママとして和食を作っていて、料理は小学生の頃に既に好きでお弁当も自分で作っていたのだそうだ。
「美味しいですね・・・」
味だけじゃなく、後味にあったかいものが残る。辞められた店にも多分常連のお客さんがいたことだろう。
私は食に関して「美味しい」と思うことはあっても、また食べたいなという欲はあまり沸かない方だ。それがYさんの作ってくれる食事は、また食べたくなる気持ちにさせる。もう一回食べたくなる料理なのだ。
捨てるのを忘れて残っていたシワシワの白菜が、パスタの材料となって料理となって生き返る。他にも中にあるのに見えていない調味料や食材が意外にあることを、Yさんが作ってくれる料理を目にして、あらためて思い出したりする。
女性の多くは、自分の家の冷蔵庫の中を見られるのを厭がる。私もやはり冷蔵庫の中は、他人に見られるのはとても恥ずかしい。だが、普段密閉された秘密の箱は思い切って料理上手な人に預けてしまう日があってもいいかもしれない。
冷蔵庫の中に、新鮮な風が吹いて行く。
ピチっと閉めることが大事だと思ってきたが、冷蔵庫も、風通しのいい方がいいのだ。
他の物も、風が通った後の景色が好き。
思っているよりも多くの宝物が入っていることに、私のように気づく人がきっと他にも居るだろう。
2007年03月22日
この所、毎日西川さんのライブ用の譜面を書いている。
いつ終わるんだろう。思ったより時間がかかっているので、ちょびっとあせっているのだ。
ここは2分音符。
今のは符点2分。
これって高い「ド」でよかったっけ。
音を聴きながら譜面に音符を書いて行くのだが、途中で「ダラリラリリララン!」と、大阪弁の巻き舌みたいなフレーズが出て来たりすると、「あーー!」と叫びたくなるのだ。
「ダラリラリリラララン!」
って・・・。今のは何拍分になるんだろう。
いち、に、さん、し。
1拍目が休みで・・・。
次が「ダラリラ」。
で、その次が「リリララ」
「ラン」。
最後の「ラン」は4分音符なのか。
8分音符で8分休符にするのか。
むむむむ・・・・わからん。
わからんけど、8分音符で8分休符っぽい。
そうしておこう!
今のはEm。
で、Amか・・。
いや、Am7か。
・・・・・これってどっち。
Amにしておこう!
「ダラランドロロンドンコドコン!」
えーっ、またーーーー?!
「ラリリリリリララリン」
えっと・・・。32分音符の6連符に16分が4つ。
って・・・。合ってるのかな。これで。
自信ガ、アリマセン。
あと何曲残っていたっけ・・・。
家庭教師が欲しい。譜面を書きながら、私は勉強の出来ない子供の気分を何度も味わっている。
そんな私が今一番ストレスに感じていること、それは修正液チームと私があまりいいタッグを組めていないということだ。ただいま修正テープと修正ペンを使っているのだが、このどちら共が私には呑気な気がしてならないのだ。テープは持久力がなく、疲れて来ると3割ぐらいの確率でビーっと引っ張っても動かなくなる。
「あれ、どうしたの。今まで使えていたのに」
裏返して調べてみたり、下敷きを厚めにしたりとあれこれやってみるが、変化なし。ビーっ、ビーっ、と何度もビロンビロンやっているとまた何かのきっかけで動き出す。
「あーーー」
今度は一気に消さなくていい方まで、ビローン。
安定した使い勝手を求めて極細ペンタイプにしたら、今度は出が悪い時があって、同じ場所でグリグリやっているうちに紙がよれてくる。
テープくんは休憩を自分で決め、ペンさんは寝起きが悪い。あまり一生懸命な感じがしないので困っているのだ。
ビローン、ビリッ。
ビローン、ビリッ。
譜面書きは算数や工作、苦手なジャンルが入って来るので、あまり好きじゃない科目なのである。