薄笑いの人とすれ違った。
その人は自転車に乗っていて、一人だったが確かに薄ら笑いを浮かべていた。
私が目にしたのはほんの2〜3秒。
だが、薄ら笑いを浮かべるタイム的には、人は数秒ぐらいなんじゃないのか。せいぜい長くても15秒ぐらいがいいところだろう。
何かおかしかったことを思い出していたのか。
嬉しいことを思い出していたのか。
私が見ていたことに気付かないまま。
行ってしまった。
薄笑いは、他人には薄気味悪い笑い。
でも「本当の笑い」だ。
思わず笑みがこぼれたその理由があったのだ。
自転車で走って行った。
あの人は。
楽しいことを頭に走らせて。
私もそのあとでおかしくなる。
私も薄ら笑い、か。
ごきげんよう。
風のように通り過ぎた、
見知らぬ人よ。