夜、バイクに乗って「弦巻カフェ」というお店に探検を兼ねて行ってみた。
ここは雑誌のカフェ特集に載っていて、とても興味を持った所なのだ。古い一軒家を丸ごとカフェにしているので、庭でもお茶が飲めて、あとは住宅地にさりげなくある”らしい”。夜12時までやっているそうなので、お酒や食事も楽しめるみたいだが、まずはどんな所なのかをこの目で確かめてみたい。
そこでいつものように”なんとなくこの辺”と地図を頭に入れて6時半頃にバイクでフラっと出掛けたのだった。
お酒が好きな人が飲み屋さんを欲するように、飲めない分私はたまにカフェに行きたくなる。もし飲んべえだったら夜はどこかで一杯やりたくなってウズウズしてしょうがないタイプなのではないだろうか。一人で出掛けるのは平気な方なので、夜出歩くということも十分想像出来るのだ。
目的のカフェにはやはり一発では行けず、近くに来てから随分迷う。だが迷いながら店を探すというのも宝探しのようで好きなのだ。だいたい店に入ったら5分でジっと座っていることが退屈になるので、店を探して迷うぐらいが丁度いいのかもしれない。
この辺だと思うんだけどなぁ・・・。
不安気にウロウロしていると、突如店の看板が目に入った。
外から見ると普通の家。でも暖色系のランプがそこここに飾られているせいか、明かりの感じが民家とは少し違う。門を入って行くのでちょっとドキドキしたが、ここで正解。雑誌で見たのよりもう少し小じんまりとしたカフェにやってきたのだ。
ガラガラ・・・。
民家を改造した茶屋というのは、どうも入る時に「住居侵入」的な罪悪感がまとわりつく。お客なんだから大丈夫と言い聞かせて入ったのだが、お客さんが丁度誰もいない時間帯だったようで、一人で店内に座るというちょびっと緊張のティタイムとなったのだ。
「もうすぐ予約のお客さんが来られますが、今ならお好きに回っていただいて結構ですよ」
コソっと写真を撮っていたら、そう親切に言ってもらえた。
庭に出て写真を撮る。適度な雑草と古い樹木、自然にそれぞれが伸びてこうなったというあまりちゃんとしていない庭も風情があってすごくいい。ガサっと音がしたと思ったら、大きなガマガエルが跳んで行った。
写真に撮ったより、目で見た景色の方が断然よかった。
夜のプチ探検。
店に居る間、お客さんは私一人だけだったので、まるで古いお屋敷の令嬢のようであった。
「お会計500円になります」
令嬢は500円を払うと店を出た。そうしてバイクおばちゃんに戻り、また道を迷いながら帰途についたのであった。