渋谷のセンター街で道がわからなくなったので、誰かに尋ねようとした。
こんな時、何となく男性には声が掛けづらい。20代〜40代ぐらいの女性がいいなと思うのだが、こういう風に、道を歩いていて逆に自分が声を掛けられる側になるとすると、”何をお願いされるんだろう”とまず警戒をして、笑顔はなくなる。そして出来れば立ち止まらずにここをすりぬけたいと思う。
だから、声を掛ける側になると冷たくされるのは必至のことなのだ。
まず・・・・「すみません」と言って頭を下げて通行人に声を掛けてみるが、冷たくされる。するとその光景を遠くに見た人が「アイツ、要注意だな」と思う。で、その人がこっちに歩いて来たと思って声を掛けると、完全無視をくらい・・・。その姿を見た人がまた関わりたくないと思う。で、今度は50メートルぐらい手前からもう”話し掛けないでオーラ”をプンプンと放たれ・・・・。
そし〜て、僕は途方に暮れ〜る〜♪
のであった。
都会で道を尋ねる時は、「すみません」の後に間を置いてはいけない。「すみませんみちをおたずねしたいんですが!」と、十分強引な道の尋ね方をしなければ道は開けないのだ。
「すみませんみちをおたずねしたいんですが!」と言いながら更に「私は怪しい者ではございません。ほんの1分弱それきりのお付き合いで後くされ一切なしです」という文章をテレパシーで送る。
結局二人組のギャルが足を止めずに「あっちの方〜」とだけ教えてくれたのが唯一で、「あっちの方」ではさすがにわからない。
あっちってどこ。
なんじゃもう!
いいわ。
自力で探そ。
小雨が午後の渋谷に降っていた。
能面のような顔をして歩きつつも、心は雨に打たれた迷子の子猫ちゃんなのであった。