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投稿日:2008年05月31日

2008年05月31日

Dーnaught、ワンマンライブ。昨日の最終リハーサルで最後の音チェックをしたが、今日のリハーサルも長時間をかけてやる。
私はかつてあがり症だった。
だいぶ治ったのは、10年程前に先輩ミュージシャンが話して下さったあることがきっかけなのだ。
その先輩ミュージシャンは当時既にいろんな現場をされていて、いつも平静で動じず見た目もその頃かなりブっとんだ感じの方だったが、一度とても緊張をする仕事場があったのだそうだ。
「えー!で、どうされたんですかぁ」と、私。
「今まで何十年もオレは練習をしてきたんだ。他はダメだったがコレだけは真面目にやってきたんだぞ。だからきっと出来る、出来る。」
と、呪文のように自分に唱えたら全部フっ切れたよと言われて、妙に納得をしたのだ。
私も、音楽に対する一途感については、今までの人生においてはまぁまぁあるんじゃないかなという思いはある。高校生の頃は、音楽を頑張ってするのなら恋愛にうつつを抜かしてはいかんと、勝手に自分に「恋愛禁止令」を出していたこともあったし、バイトはバンドの練習が入ると休むので転々としていたっけ。
もろもろ、「他はダメだったが、コレだけは真面目にやってきたんだぞ」という部分については、先輩と一緒だ。なので自分が緊張に押し潰されそうになる時には、先輩の方法を思い出すようになったのだった。
私には「音楽をやっている」ことで、あきらめた今でも悔いがちょっと残っていることがある。
それは、アルバイトニュース等に載っていた「長野で夏の1ヶ月、住み込みでアルバイトをしませんか」「スキー場での住み込みのバイト募集。若い仲間達と楽しく働いてみませんか」といった、長期住み込みバイトというのをやってみたかったというものであった。
牧草地に寝転んで雲が流れていくのを見てみたかった。
流れ星が夜空を流れるのを数えてみたかった。
実家のトイレの掃除はしなくても、牛の糞は他県に来たという喜びで苦なくやっていただろう。
東京の大学生と付き合って遠距離恋愛もしてみたかった。
今、あぁいう所に行けても、使えないおばちゃんとしてしか自分は存在しなくなる。
私が「音楽を頑張った」と思う時は、青春時代に住み込みバイトに行きたかったのをあきらめたのを思い出す時なのである。
ライブ前に、こうして何故か一人長野の山を想像して座っている時がある。
メンバーのko−派くんが「吉川さん、緊張してますねー。へへ」と笑う。
いえ、違うんです。最初緊張していましたが、今は青春時代の思い出に浸っているんです。邪魔しないで下さい。
ライブ前、私は楽屋でジっと座っています。
こんな時はたいてい生き霊を飛ばしている。夏の長野の高原の上で、私は「ヤッホー!」と叫んでいるのである。